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年頭挨拶

第四管区海上保安本部長 足立有功

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平成十年の新春を迎えるにあたり、社団法人中部小型船安全協会会員の皆様に慎んで新年のご挨拶を申し上げます。

 

振り返ってみますと、昨年は、中央省庁の再編あるいは金融機関の破綻問題と、政治経済面での大きな動きに国民の注目が集まったところでありますが、私どもが活動の場としております海に目を転じますと、一月の日本海におけるナホトカ号油流出事故を始めとして、海外を含め各地で油流出事故が相次ぐという年となりました。特に、ナホトカ号事故においては、阪神・淡路大震災に見られたような世代を越えた大規模なボランティア活動が報道されたこともあり、皆様も鮮明な記憶を抱かれておられることと思います。

 

さて、社団法人中部小型船安全協会におかれましては、昨年一月、めでたく設立二十年を迎えられたところでありますが、この先の十年で迎えることとなる二十一世紀においては、市民の海への関心が益々高まりを見せ、海洋レクリエーション活動は更に発展を続けるものと思われます。また、その一方で、現実に目を向けますと、昨年の小型船舶にかかる海難事故においても、見張り不十分、水路調査不十分等の航海に関する初歩的技量不足あるいは航海に関する知識不足を原因とする海難は後を絶たない状況となっており、小型船舶を対象とした安全講習会の開催、安全パトロール活動等といった、貴協会における活動は、今後一層重要なものとなって来ると考えております。

 

こうした諸活動を支えるのは、安全指導員の方々をはじめとする会員の皆様の旺盛なボランテイア精神であり、その活動の成果が形として捉えにくいものであるにもかかわらず、日々粛々として地道な努力を重ねておられる皆様に、この場をお借りして厚くお礼申し上げるところであります。第四管区海上保安本部といたしましても、この努力がいつか必ず実りの日を迎えることができるものと信じつつ、貴協会と手を携え、海難防止思想、海事知識の普及・啓蒙等による航行安全対策を推し進め、健全な海洋レジャー活動の育成.発展に努める所存でありますので、貴協会役員を始めとする会員の皆様のより一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

 

また、協会の運営にあたりましては、財政あるいは事業等幾多の難問が山積しているなかで、役員の皆様を中心として協会の前進を目指しておられることに対しまして、敬意を表するとともに、貴協会の益々のご発展と皆様のご多幸をお祈りして年頭のご挨拶と致します。

 

 

 

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