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6. 次期学習指導要領に基づく学習指導では(2003年〜)

1997年11月17日に,教育課程審議会による「教育課程の基準の改善の基本方向について」の中間まとめが文部大臣に答申された。これは,従来の教育課程審議会の中間答申とは本質的に異なり,各教科の授業時間数の枠,内容項目の厳選を具体的に明示している。それは,2002年の4月から小・中・高一斉に週5日制に取り組ますための手段とされている。

このあと,学習指導要領が作成され,1998年の10月には,小・中・高の次期学習指導要領が同時に告示される予定である。しかし,その内容構成の大枠は上述の答申に示されており,それをもとに海洋教材を入り込ます方策を考えてみた。

先ず,中学校では,1,2学年の理科の内容として入り込める余地は全く無い。しかし,第3学年の理科は学習指導要領として示される内容項目が少なく,学校で自由に裁量できる課題研究や「人間生活と科学との関係」と称する補足的な項目が設定されるようであるから,これを活用すれば,数時間分の海洋教材を入れ込むことはできる。

また,中,高ともに,新たに「総合的な学習」と称する授業時間を週2時間設けると決め,現在,多くの教科,科目にまたがっている「環境とエネルギー」をまとめて扱うのが好例としているが,それは確定的なものではない。むしろ,多種多様の授業実践を期待するとしているので,これに乗じるのが得策に思える。

 

3-3-3 古環境科学と現在の海洋環境

古環境を推定する方法は,地史学,古生物学,堆積学などの分野で古くから研究されてきた。これは地学の最終目標の一つである地史,すなわち地球誕生から現在の姿に変化してきた地球の歴史を編むためのなくてはならない作業であった。研究方法は,大きく2つに分けられる。1つは,化石を研究し,その化石が示す古生物の生息環境を明らかにし,化石からわかる年代とともにその地域の当時の環境を推定していくものである。もう1つは,堆積物(堆積岩)をよく観察し,堆積物の粒度や組成,形,また堆積構造などからその堆積物が堆積した環境を推定していくものである。

前者の化石から古環境を推定する方法では,現在の生物の生息環境を1つの基礎資料として化石(古生物)の生息環境を推定していくのが基本であるが,現在の生物とかなり異なる古生物の場合,推定根拠が現在の生物からの資料だけでは不十分である。この場合は,化石が産出された地層,すなわちその地層をつくる堆積岩(堆積物)のデータ(後者の方法)を加味して推定されることになる。

 

 

 

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