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Fマニュアルの動きについてもコメントがあれば、よりよかったかなと思っております。

実は、このIMFマニュアルの作成にあたりまして、私ども日本銀行もIMFに対してコメントを寄せているところでございますけれども、正直申し上げまして、このIMFマニュアルというのは、いわば金融統計に関する最先端の見解が含まれているものでございまして、言い換えますと、その国連による93年のSNAの考え方、あるいはそれよりさらに以前に策定されましたIMFのBPのマニュアルの内容とはさらに変わってきております。

最新のこういったIMFマニュアルにおいて取り込まれた考え方は、本来はBPマニュアルとか、93年のSNAの考え方にもフィードバックされていくことが望ましいのだろうというな、うに思います。

これは何もセリンさんにお答えいただくということではないかもしれませんけれども、私として日頃実感しておりますのは、最先端の金融についての考え方というのを整理したマニュアルができれば、それに合わせて既存のマニュアルもリバイズをかけていくことがやはり必要なのかなというふうに思った次第でございます。以上が、ペーパーの内容について強いて感じた点でございます。

それから、2つ目のペーパーの論点を日本のケースに当てはめて、私なりに整理したことについてお話したいと思います。

3点ございまして、まず第1には、国際的な標準化を行う上でやはリー番大きな障害というのは、制度上の制約ではないかと思いました。

特に、私どもが作っております金融統計というのは、非常に制度によって国々の枠組みが大きく変わってしまいます。IMFマニュアルとか、あるいは93年SNAでも、基本的に金融の捉え方として、経済的な機能で捉えようということを前面に打ち出しておりますけれども、国々で比較可能な標準化を行おうといたしますと、どうしても制度という制約は大きな障害になっているというふうに思います。この制度の障害を越えて標準化を図っていくということを、いかにやっていくかということがかなり難しいと思います。

第2の点は、統計作成のためのノウハウといった点でございます。

私ども日本銀行も古くから統計を作成しておりますが、やはり、組織として統計作成のスキルを独自に磨いていって統計を作成しております。ただし、どうしてもそれが組織内でのスキル・アップの蓄積によって統計が作られる傾向がございます。言い換えますと、各国でそれぞれ統計作成機関が独自のスキルを磨いていってしまうと、実は国際的に横並びで見ると、各国が一様のやり方で統計を作成するということが難しくなってしまうということでございます。

金融統計マニュアルといったIMFのマニュアルは、基本的な考え方については非常に整理してありますけれども、それを具体的にどういう形で統計に反映させるかということは、各国の裁量に任せている面があります。この裁量部分で各国の統計の作り方、概念が微妙に変わってきてしまう面があって、いわばその統計作成にあたっての「流派」といったものがあまり大きくならないよう

 

 

 

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