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〔ディスカッサントのコメント〕

 

〔ディスカッサント〕 日本銀行調査統計局経済統計課長  藤 江 泰 郎

 

議長:ディスカッサントの藤江さん、お願いいたします。

 

藤江:日本銀行の調査統計局経済統計課長をしております藤江と申します。

本日セリン・シアさんからお話いただきましたドクター・スーン(Dr.Soon)の論文についてコメントをするということでございますけれども、本日お話のありました論文の内容について、基本的には、私として全く同感である、というのが率直な感想でございます。

すなわち、アジアの経済金融が非常に緊密化してきていて、昨今も見られたようなタイの危機がアジア全般に、全世界中に広がっていくといったような事態も含めますと、やはりそれを察知する上での統計的な意味での、基本的な標準化が必要であるということは、私も非常に同感しております。

また、そういった統計の国際標準を確立する、質の高い統計を各国で整えていくということ自体、お話にもありましたように、非常に困難が伴うというのも実感しておりますけれども、そういう困難を乗り越えてでも、そういう統計整備は必要であろうというふうに感じております。

従いまして、論文の内容について私の方から強くディスカッションを求めたいという気持ちはございません。ただ、私の方からは、大きく分けて三つの話をさせていただこうかと思います。

第1は、ペーパーそのものについて、ごく細かい点ではございますが、私が感じた点についてのコメントをさせていただきます。

それから、2つ目は、ペーパーの論点というものを日本のケースに当てはめてどういうふうに感じられるか、整理をさせていただこうと思います。

それから、3つ目は、そうした整理をふまえて、アジア諸国にとっての国際的な統計標準化を行っていく上で、基本的にどういう気持ちで行っていったらいいのであろうかということを、私なりに整理してお話したいと思います。

まず、第1点目のペーパーの内容についてのコメントでございますけれども、先程申し上げましたように、基本的な論旨についてのコメントではございません。やや細かい点になりますけれども、268頁のIIIにRevised Statistical Frameworksという3番目の議論が行われております。

こちらの議論が国連による1993年のSNAの見直し、およびIMFによりますBP(国際収支)マニュアル5 thバージョンのお話が中心に行われておりますけれども、私ども金融統計を作成しております立場では、現在IMFが1997年中に完了を目標としております「金融統計マニュアル」というのがございまして、この「金融統計マニュアル」というのは、ごく最近の金融のいろいろな金融商品の変化等をふまえて標準化を図ろうとしているマニュアルでございます。こういったIM

 

 

 

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