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として適時で信頼性のある情報の重要性を認識しております。それ故、シンガポールは、適時で信頼性のある経済・金融統計へのアクセス可能性と透明性を増すための、種々の国際的な動きを強く支持してきました。この中には、SDDSへの加盟やIMFのデータ公表掲示板から実際の統計へのハイパーリンクを提供することが含まれております。

貿易と投資のフローは、シンガポールにとって血液のようなものであります。そしてシンガポールは、世界でもっとも開放された経済をもつ主要な貿易国家であります。金融と資本のフローが完全に自由化され、海外投資に対する制約も実際上ないため、投資フローは流入も流出も大量なものでありまして、今後も引き続き多いものと思われます。シンガポールの経済は真にグローバルなものでありますので、シンガポールは、比較可能な貿易・投資統計の開発を強く支持するものであります。

シンガポールは、APEC貿易投資データベース(TIDDB)の開発を主導した国々の一つであるのみならず、1997年のIMF調整ずみポートフォリオ投資調査にも参加しております。さらに、シンガポールは、より多くの、そして、より質の高い統計を適時に利用可能なものとする目的で、統計制度の変革と改善を積極的に見直しております。国際サービス貿易についての新しい大型の調査の開始は、その一例であります。

これらの努力に対して、もちろん制約がないわけではありません。シンガポールの場合、退屈で労働集約的な仕事を担当しようというスタッフが足りないために、調査や収集を追加的に導入していける数は限定されることになります。さらに、調査の回答者に対して一層の負担が課せられるという問題があります。これらの問題は、コンピュータの一層の利用と行政データ利用の増加によって緩和することはできても、完全になくすことはできません。効率的で効果的な調査の基盤を開発できていない国々にとっては、より適時の、より分散した、そしてより正確な統計を用意するという要求は、さらに一層困難なものでありましょう。

国際的な基準や統計フレームワークに準拠することは、どのような状況下でも容易ではありません。S N A93とBPM5は、金融サービスが急速に変化する性質のものだということを認識したものでありますが、まだいくつかの論争点が残っております。シンガポールの場合には、経済における金融サービスのシェアが相対的に大きいことから、金融サービスのアウトプットを測定する能力を改善する必要が高まっております。例えば、外国為替の取引と金融デリバティブから生じる貿易の利益をどう取り扱うか、ということが課題として思い浮かびます。このような利益を所得として取り扱うとすれば、それらはGDPの中に入ることになり、キャピタルゲインとみなされるならば、GDPから除外されることになります。これらの問題と金融デリバティブの統計的な測定に関するその他の問題は、複雑でありその解決は容易でありません。それらの問題は、IMFが「金融デリバティブの統計的測定に関するエキスパート・グループ」を設けて検討しております。

結論といたしましては、正確で信頼性があり、適時の経済・金融統計が持続可能な発展の文脈の中で果す極めて重要な役割が、最近の事件によって確認されました。統計情報の適切な分析と解釈は、健全な経済金融政策の立案と実施を容易にするでしょう。ますますグローバル化した経済の意味するところは、ひとつの国なり経済なりが直面する問題は、隣接する国々に急速に波及するということであります。従いまして、アジア諸国は、グループとして、適時の経済金融情報を作成し、公表するような統計システムの開発を促進することが重要であります。

議長:ありがとうございました。

 

 

 

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