日本財団 図書館


〔報 告〕

「人間開発のための統計の課題と展望:マレーシアの場合」

 

マレーシア クバンサン大学マレーシア・国際研究所長  イシャク・シャリ

 

“Problems and Prospect of Statistics in Pursuit of Human Development in Malaysia”

lshak bin Shari,Professor/Director,Institute of Malaysian and International Studies(IKMAS),Universiti Kebangsaan malaysia Malaysia

 

議長:それでは次に、イシャク・シャリ先生にお願いします。

 

シャリ:議長ありがとうございます。皆さんこんにちは。まず、私をお招きいただきましたことについて、全国統計協会連合会の方々に感謝申し上げたいと思います。私、これが初めてではないのですけれども、20年ぐらい前東南アジアあるいは東アジア地域の所得分配についての初めての研究で知り合った友人たちと会うことができました。

私の論文の中心点は、マレーシアにおける所得分配、貧困に関する統計および諸問題に関連する統計について論ずることであります。私は、公正の問題に重点を置いてまいります。それは、主として、次の理由によります。今日の開発の概念をみてみると、政策立案者や研究者も、もはや経済成長だけに関心を持っているのではなくて、それ以外の三つの重要な構成要素と関連づけた経済成長に関心を持っているということがわかります。即ち、公正さ、持続可能性、そして人々に対するエンパワーメントであります。成長は、いまでも重要と考えられておりますけれども、 しかし、成長による恩恵がどの程度うまく配分されているのか、将来の世代も現在の成長の恩恵をどの程度享受することができるのか、また、成長が人々にとってどの程度自由化を進める力になるのか、について疑問が提示されるようになっております。

多くの研究者にとって、また、私の意見では、「人間開発」(Human Development)という新しいパラダイムの中心にあるのは、公正さの問題であります。私は、公正さがなぜ重要なのかについて三つの理由があると思います。特に、持続的発展という今回のシンポジウムのテーマと関連して、我々は明確な考え方を持つことが重要であります。研究によると、貧困の問題と環境の悪化および汚染の問題との間には、密接な相互関係があることがわかっております。最近の例をとり上げてみます。

例えば、東南アジア地域における火事による煙害発生の問題があります。これは、別に、マレーシアそのほかの域内地域の問題について、議長(インドネシア・ラオデ氏)を非難しているわけではないのですけれども。問題の最大の原因は、土地を開拓している大きなプランテーション会社で

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION