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2 基調講演

「21世紀のアジア太平洋地域の持続的経済発展と統計」

 

アジア太平洋統計研修所(SIAP)所長  ラウ・カク・エン

 

Keynote Address:

“Statistics and Sustainable Economic Development in the Asia and Pacific Region in the 21st Century”

Lau Kak En,Director,U.N.Statistical Institute for Asia and the Paciffic(SIAP)

 

ご列席の皆様、まず初めに、全国統計協会連合会が今回の国際シンポジウム「アジアの持続的発展を支える統計を考える」を開催されましたことに心から敬意を表したいと思います。このようにお招きを受け、重要な機会において基調講演をさせていただくことはたいへんに光栄であります。私の講演のテーマは、アジア太平洋地域の諸国を広く対象としておりまして、「21世紀のアジア太平洋地域の持続的経済発展と統計」についてお話し申し上げます。

私の講演では、相互関係のある3つの地域に焦点を当ててお話しいたします。まず、アジア太平洋地域での成長の経験について概観し、急速な経済拡大の持続可能性について疑問を投げかけた最近の事柄にも触れたいと思います。その文脈の中で、地域内諸国の将来におけるデータ・ニーズについてお話しし、特にグローバル・レベルにおける最近の展開としまして、統計上の方法論、分類システム、データ基準についてお話しします。最後に、統計職員の専門性を高めることの重要性について強調し、また、SIAP(国連アジア太平洋統計研修所)、これは東京にございますけれども、このプロセスに貢献する上での役割についてお話しいたします。

アジア太平洋地域は、非常に多様な50か国以上の国々から構成されております。この多様性は、言語、宗教、国土面積、人口規模、1人当たり所得、識字率その他の指標に反映されております。そのうち何か国かは、経済発展が進みまして、OECD(経済協力開発機構)に加盟しております。東アジア諸国は急速に成長し、「新興工業国家群(NICS)」と呼ばれたりしております。彼らの開発戦略は東南アジアで採用されまして、それらの国々の中には、すばらしい実績を上げている国々があります。より最近では、南アジア諸国はその経済を開放し、そして、日本、東アジア、また、北アメリカや西ヨーロッパをその経済拡大の資本源として期待するようになっております。

ごく最近まで産業の国家統制と集団農業を特長としていた過渡期の国々についても、同じようなことが言えます。これらの国々でも、外国からの投資を奨励してきましたが、その成功の度合いは様々であります。しかしながら、中央アジアの共和国の国々は、今までのところ、地域外の国々とは最低限のつながりしか持っておりません。そして、太平洋諸島の国々は、市場規模も限定されて

 

 

 

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