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能性を示唆したものと捉えることができる。キャッチフレーズは研究の余地がありそうだ。

 

2) 今後の施策の方向について

 

ここでは調査結果をもとにしながら、今後の施策に向けての意見を述べる。ただし、たくさんの施策と課題をあげることは、焦点をぼやけさせるので少数に絞った。

 

a ライフステージに応じた健康教育のなかの精神保健教育

〜教材づくり・教育の場とプログラムをつくるひとづくり〜

精神障害だけ取り出すのでなく、保健教育や障害者についての啓発教育のなかで行う精神保健教育の必要性については、改めて述べるまでもない。課題は、精神保健教育を受ける側の立場に立った教材づくりにある。学校教育の場、社会人への教育など、それぞれの年齢と場にあった教材がなくては実際の教育は難しいので、実践を平行しての研究開発が望まれる。

学校教育の場における教材づくりは、教育従事者と協同で研究する必要があろう。共同作業のなかで、お互いの認識が深まるからである。

社会人教育においては、それぞれのライフステージにおける健康教育のなかに、精神保健教育と、それぞれのライフサイクルにおける危機のひとつとして取り入れることが実践的である。

また、教育のなかで精神障害者との交流を行うことはきわめて重要であるが、そのような場を有効に設定できる人を育てることと、地域に豊かな実践力を蓄えていくことはもっと重要である。精神保健教育についての研究会を開催してはどうか。

地域のなかで重要な役割を持つ人たち、例えば民生委員や町内会役員への教育メニューや教材も工夫される必要がある。

 

b 用語とキャッチフレーズの検討

啓発キャンペーンを行うにあたっては、それに使われる用語やキャッチフレーズの適切さについて検討を行う必要がある。そのためには、精神保健福祉関係者自身が「啓蒙的な姿勢」と「仲間うちに通じる世界」を捨てることが求められる。すぐれた啓発キャンペーンは、地域に暮らす人たちの受けとめ方を率直に学ぶこと、専門的な知識とアイデアだけでなく、横並びの立場で積極的な専門家の関与があってはじめて可能になる。

「病名問題」、用語として「精神病」「精神障害」に代わることばを考える必要はもちろんある。しかしその範疇が専門用語か、地域の人たちの目に直接触れる範疇であるかによって異なる。まず、その枠組みをとらえることが重要になる。

 

c 率直に伝える広報を

マイナスのイメージがあるなかで行う広報は、地域の人たちの「あまり信じられない」という感想か、あるいは「都合のよいことだけ言っている」という感想しか引き出せない

 

 

 

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