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ずねている。「きわめて重要」の順位は、「専門家の努力」50.7%、「行政の取り組み」43.3%、「事件・事故防止の努力」36.0%、「報道機関の協力」10.7%である。「きわめて重要」と「ある程度重要」の合計では、「専門家の努力」89.4%、「行政の取り組み」86.4%、「事件・事故の防止」74.1%で、「報道機関の協力」34.8%と差が大きくなる。地域の人たちは、「専門家が取り組み、それを行政が政策的に支える」ことを望んでおり、その実態を見ながら「報道機関の協力」が追いかけることを自然と考えるように見える。一方、精神障害者に対する社会的援助が「行政の取り組み」「専門家の努力」「事件・事故の防止」「報道機関の協力」すべての面で、「十分行われている」と考えているのは1%程度であり、「十分行われている」と「ある程度行われている」を加えても、それぞれ21.8%、29.0%、13.3%、18.3%である。とにかく、地域の人たちから見れば、精神障害者のことは、多くの情報のなかに埋もれている。「知られていない」のであり、「努力が見えない」のである。では、「どこまで、どのように見えるようにしていく」ことを望むのか。私たちの領域内の評価だけでなく、世間のなかでの評価に身を投げ出しながら考えることも必要だ。もちろん当事者も含めての話である。

 

g 精神障害者と身近に接する人たちへの情報について

問18は、「高齢者の介護」と比較して「精神障害者への援助」を「誰が行うことが望ましいか」をたずねている。「精神病院などの医療機関」と「老人病院等の医療機関」をあげたのは、第1位がそれぞれ22.3%と5.5%、第2位が37.1%と36.0%、第3位が25.7%と28.2%で、第1位に「医療機関」をあげた者が多い。

また問10の事例をあげた質問で、「Aさんがアパート生活を始めるために必要な条件」について、「定期的な受診」53.8%、「本人の状態が悪くなったときの専門的な援助」49.1%、「本人の社会復帰の努力」41.7%、「困ったときに相談できる体制」41.1%などがあげられている。

私たちがここで地域の人たちに啓発したいと考えているのは、「医療の必要性」と「生活の障害」を併せ持った精神障害者であり、その思いや生き方を受けとめること、それが可能であることを示すことである。それならば地域の人たちの声には受けとめるべき大切な内容が多く含まれていると考えてよい。地域の人たちは具体的な説明を求める。Aさんのような精神障害者のアパート生活が、「どのような対応があってもむつかしい」と考えるのは5.5%と、ごく少数であることに目を向けたい。

 

h 「好きだ」と思うキャッチフレーズから

「好きだ」と思うキャッチフレーズは年齢によって異なる。「20〜39歳」で40.5%と最も多く好まれ、「60〜74歳」の30.5%にも好まれるのは「ゆっくり生きよう」である。

年齢が高い層に好まれるのは「人間らしく生きたい」46.6%、「共に生きる」41.6%、「心に平和を」38.1%である。現在の高齢層には、より切実なキャッチフレーズに心を引かれている。

ただ全国精神障害者家族会が使ってきた「ひとりひとりがひとりじゃない」は全体で23.7%と、取りあげたキャッチフレーズのなかで最も選択が少なかった。

また、「特にない」が9.0%と少数であったことも、キャッチフレーズで投げかける可

 

 

 

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