日本財団 図書館


用語」であったりする。私たちが何らかのメッセージをこめてことばを使う以上、そのことばが、「社会のなかでどのように理解されているか」を見ていく必要がある。ここには民族学や国語の専門家の協力を得ていくことも考えられてよい。とにかくも「精神病」ということばには、強いマイナスのイメージがあることは確認できた。

 

c もっとも知られているのは老人性痴呆症とうつ病

によると、「うつ病・そううつ病」「精神分裂病」「老人性痴呆症」「神経症・ノイローゼ」「アルコール依存症」のうちで、「会ったり話したことがある」が多いのは、「老人性痴呆症」が最も多く36.1%、「うつ病・そううつ病」が32.4%で2番目に多く、「精神分裂病」が最も少ない11.8%である。「知らない・イメージがわかない」が最も多いのは「精神分裂病」の27.3%である。確かに、名称自体で病態の想像がつく他の病気(障害)に比べ、わかりにくい印象は否めないだろう。しかし、伝えていくとしたら、地域の人たちに「精神分裂病」の何を伝えればいいのか。この結果はそのことも考えさせる。

 

d 地域のひとたちは病気(障害)を人生のなかで理解しようとする

「精神分裂病」の原因として考えるものをたずねている。最も多いものからあげると、「人間関係のつまずき」69.6%、「神経質な性格」49.3%、「競争社会のゆがみ」33.9%で、「脳神経の障害」は32.0%と4番目である。また「体質や遺伝」も23.1%と多くはない。最近話題になっている「小児期のウイルス感染」は1.6%で、地域の人たちからは「ほとんど考えられない」ことに属している。

少なくとも「遺伝100%」というような理解はなされず、どちらかといえば「神経質な性格+ストレス」的な、生きていくなかでの病気という躓きと捉えられている。これは「素人の考え」であるが、「やさしさの含まれた考え」でもある。「1)ライフステージで変わる関心」と合わせて評価したい。

 

e 「啓発的な情報」だけでは届きにくい

精神障害者について、「きちんとしたケアを受けていれば、とくに他人に危害を加えることはない」「刑事事件をおこす比率は、一般の人より低い」「精神分裂病になる人は100人に1人くらいで、病気がよくなれば普通の社会生活ができる」の3つの質問に「聞いたことがある」と答えたのは、それぞれ20.6%、11.3%、18.3%と少数である。また、これらが「信じることができる」と答えたのは、それぞれ16.6%、16.3%、26.4%であるからと少数である。もう少し丁寧な分析を加える必要があるにしても、「障害」+「病気」として与えられた情報のインパクトに対して、「啓発的な情報がことばと資料で示されても、地域の人たちに届きにくいのでないか」という想像が成り立つ。また、地域の人たちは、私たち自身も含めて「与えられただけの情報は信じもしないけれど、突き放しもしない」と思う。それは「信じることができるか」という質問に「そうかもしれないと思う」と答えた人が、いずれも半数を超えていることから考えられる。

 

f まず専門家と行政の取り組みを、それから伝えてほしい

「精神障害者が社会のなかで、地域の人とともに生活していくために重要なこと」をた

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION