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者には、実際に年少の子どものいる可能性が高い。したがって無防備な子供を持つ親の防衛的な心理が重ね合わされているものと思われる。

これらから、精神分裂病を医学モデルで考えるイメージは比較的人生の後期の課題への関心と結びついていると考えられる。また精神障害への関心を持つ層にも、精神分裂病への医学的なイメージが強い。これに対して、未分化な印象としてのイメージは、若年期の課題に関しての関心を持つ世代、特に年少の子供を持つ回答者において強かったものと思われる。

 

6) 実際の患者との交友体験との関係

 

精神分裂病へのイメージが、社会的な知識やスティグマに影響されるとしたら、それをもっとも強く修正するのは患者との直接の接触の経験であろう。種々の精神疾患の患者を知人に持つ度合いと、精神分裂病のイメージとの相関(Spearmann順位相関係数)を以下に示す。

 

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この結果から分かるのは(表??-8)、肯定的イメージの「治療可能な疾患」と中立的なイメージの「良くも悪くもなる」の両者とも、精神分裂病およびそれ以外の患者との交友体験によって有意に強化されていることである。他方で否定的なイメージは、こうした交友体験とまったく相関を持たない。また、交友体験を持つことと、イメージを持たないとする態度とは逆相関を示している。関係する精神疾患としてはうつ病、精神分裂病、老人痴呆がもっとも重要であり、神経症がこれに次ぐが、アルコール依存症は全く相関を示さなかった。

以上から、精神分裂病へのイメージを否定的なものから脱却するためには、精神疾患の患者との直接の交友体験が重要であることが示唆されたといえる。アルコール依存症がこの分脈からはまったく外れてしまったことは、同依存症の社会的な受け取られ方が、他の精神疾患とはかなり異なっていることを示していよう。

 

 

 

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