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かのイメージを持つ傾向にあり、知的な訓練の影響が伺われた。逆に主婦、農林漁業者は判断を保留する傾向があったが、社会的に、相手に対して支配的な対人関係のパターンを取ることが少ないことが関係するかもしれない。

また精神の分裂という、否定的なイメージについては未婚の子どもとの同居とやや関連しているが、おそらく子どもへの侵襲のおそれという点から、やや非理性的に、印象的な不安を抱きやすいことがあるかもしれない。本研究では子どもの年齢を調査していないが、今後、その情報が得られれば更に考察が進むと思われる。

 

5) 心の健康への関心度

 

精神分裂病が代表的な精神障害であることを考えると、この疾患へのイメージは、広く心の健康そのものへの関心に影響されている可能性がある。

本アンケートでは、心の健康への関心(問2)を、

1)子育てに関わる母親、2)学校生活、3)夫婦関係と家庭、4)職場のストレス、5)退職後の生活、6)高齢者の介護、7)精神障害 についてたずねている。それらへの回答と、精神分裂病へのイメージとの相関を下図に示した。

 

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この結果の特徴は(表??-7)、相関から見る限り、治療可能、難治、良くも悪くもなる、という、肯定的、否定的、中立的な3種類のイメージを区別することが困難だという点である。これらのイメージと結びついているのは、夫婦、職場、退職後、高齢者、精神障害に関連した心の健康への関心であり、このうちでは当然のことながら、精神障害への関心がもっとも強く結びついている。これに対して、精神の分裂というイメージは、夫婦家庭と子育ての母親と結びついているに過ぎない。

この結果を解釈するためには、イメージの分類として、医学モデルと印象モデルを考えることが有用である。すなわち、治療可能、難治、良くも悪くもなる、というのは基本的に精神分裂病を医学的な見方で捉えており、その予後についての見方が異なっているだけだと言える。これに対して、精神の分裂というイメージは、患者についての未分化な印象であると考えられる。

また、退職後、高齢者などは人生後期の課題である。夫婦関係、職場のストレスは人生の各段階に共通する問題ではあるが、やはり中年期以降により重要な問題となりやすい。他方で、子育ての母親への関心は人生早期の課題であるだけでなく、この関心を持つ回答

 

 

 

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