日本財団 図書館


3-2. 外航邦船社の見解

(1) 国際コンテナ物流動向

港がハブ機能を持つためには、その港に貨物を集める必要がある。アジア域内で日本の貨物が60〜70%の割合を占めていた時代は、あえてハブ機能と認識しなくても集荷は可能であった。日本の取扱貨物がアジアの17%となり、幹線航路の寄港回数も減少してきている現状では、貨物取扱量の減少も当然である。

神戸港を始め日本港湾のハブ機能低下と見なすより、アジア域内での物流構造が変化したと認識した方が適切である。例えば、神戸港から中国各地へ網の目のようにフィーダーをかけていた船社も、今は直接寄港する航路が増加しているため、フィーダー航路数が半分以下になっている。

日本全体のコンテナ取扱量1,200万TEUを全国の港湾の290バースで荷役しており、コンテナターミナル稼働率が低くなっている。小さな島国で港が一つという条件差を踏まえても、シンガポールでは1,300万TEUを35〜36バースで取り扱っており、1バースあたりの稼働率、生産性は高いため、コストも安くなる。また、香港でも21バースで貨物を捌いている。

ハブ港とは、貨物が多く集まってこそ、その機能が発揮されるものであり、コストが安くなければ貨物は集まってこない。

(2) 寄港地の決定条件

外航船社の寄港決定に国境は関係ない。日本法人として日本での取扱貨物量増加によるメリットはあると思うが、貨物が多くあるところに寄港するのであり「日本の船会社だから」日本の港を使用するという意識はない。以前は、日本での積卸貨物を多く扱えたこと等、日本法人であることのメリットが多かったが、現在は、細かい規制が多いことや税金が高いことなど、デメリットの方が多い。船社は港を利用する際、使用した時間やスペースに応じて費用を払うため、その港での貨物量について必要なコストと得られる利益を考えて、寄港地を決めることとなるため、少しでも安くて使いやすい港であることが望ましい。

(3) 日本の港湾のあり方

神戸港など日本の港湾が取扱量を増加させるためには、国際競争力を強化してアジアの他港と競争していくしかない。そのためには、コストの低減が最重要課題である。施設使用料や労務費の低減、港湾での作業効率を高め、単価を下げる必要がある。また、ターミナルの集約なども必要である。

(4) 大水深バースの利用見通し

コンテナ船の大型化が進展しており、日本の多くの港湾で大水深15mバースが整備・計画されている。しかし、日本をとりまく国際コンテナ物流が変化する

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION