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3.港湾物流の動向および神戸港の評価

3-1.荷主の見解

(1) 製造業/大阪市

神戸港は、本船積み込み作業については時間が正確であり、港の機能は優れている。しかし、コストが高い港であるといわざるを得ないと思う。

固定費を下げるという観点から、24時間・365日運営を進め、港の付加価値を高めるべきだと思う。船社も協調配船体制を組む時代であり、港の利用効率を高めるべきである。釜山港は限界近くまで稼働しているという印象がある。

また、地方港整備を無駄な投資と見なすよりも、地方港が神戸港をいかにアシストできるかを検討していくことも重要である。地方港揚げは、フレートが高くなる傾向があり、荷主はトータルコストで物流ルートを選択していることから、本船寄港のある神戸港の港勢回復を探る余地があると思う。

(2) 商社/大阪市

神戸港の港湾コストは、震災後、安価になっているが、国内比較においても高いというイメージをもっている。釜山、台湾、香港でのコンテナ取扱料は、日本の港湾の1/2〜1/3であることから、神戸港から貨物がシフトした。ただし、釜山港は時間を要するので利用者にとっては時間的な制約がある。

景気低迷の現在、コストかスピードかと問われると、コストを選択することになる。また、消費動向をみていると、21世紀にかけては、スピードよりコストが優先されると思う。消費者が「この日にこの値段でこの商品が欲しい」という要請に応じて事業が成立するので、物流コスト比率の削減が必要になる。従来は、メーカーや商社が値段を決定できたが、現在は、消費者が値段を決定する。安くてよい品だから買うのであって、大手だから買うという時代ではない。したがって、当社も顧客に商品の価格内容の提示(ブレークダウン)を求められる。この中に物流コストがある訳で、高ければ、顧客からも指摘を受ける。要するにコスト勝負である。

こうした状況の中で、神戸港は国内ハブ港を目指すことになるのではないか。当社でも円高を基調として製造ポイントを中国にシフトして、神戸港を利用しなくなった。

個人的には、将来、神戸港が復活する可能性があるとみている。これは、県、市が港湾物流に理解をもっていることからも感じられる。港町としてソフト面でのストックをもっているということだ。また、船社、港湾運送業では再編成が進むと思う。

 

 

 

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