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4.2 防災関係資料のデジタル化がもたらす防災行政の高度化

 

災害時における緊急・応急対策を的確かつ速やかに行うためには,各種災害情報や被害情報を速やかに収集するとともに,過去において蓄積された情報を加味したデータ処理を行い,これらの情報をもとに応急対策の意思決定を行い,必要情報を住民や各関係機関に伝達する必要がある。

また,このような応急対策の効果を上げるためには,平時時からの防災事業をはじめ,防災機関の応急対策の事前準備,地域住民や防災機関職員に対する防災教育・啓発等を推進しておくことが不可欠である。

 

これらのことをふまえた上で,防災関係資料のデジタル化がもたらす防災行政の高度化の展望について以下に述べる。

 

これまで述べてきたように各防災資料データのデジタル化により,様々な利点(データの管理・編集・加工・共有化など)が生まれる。

将来的には,場所や時間に限定されない,さらには衛星通信を利用したモバイルコンピューティングのネットワーク化への応用(GPSの応用,ラップトップコンピュータによる災害時におけるバーチャル的な災害対策本部の設置,災害時情報収集体制の確立など),またインターネット上でのGISの構築技術などへの応用・発展も考えられる。

このような技術の応用により緊急時の初動活動体制,避難者の生活支援,民間団体等の協力体制(防災ボランティア・各団体の協力体制)などスムーズな危機管理システムの構築が将来的に可能となると思われる。

このように,統一化・共有化されたデジタルデータにより地方公共団体をはじめとする各事業者(ガス,電気,通信分野)や企業・個人などの連携,コミュニケーションが強化されることにより,平常時における情報収集体制の整備,災害時におけるタイムリーな災害情報(被害情報だけでなく,リアルタイム被害予測,状況進展予測,避難の勧告・指示,交通情報,安否情報)の提供,各諸団体における相互協力体制のなどの円滑な防災体制システムの確立,シミュレーション技術への応用,及び災害時の対策の意思決定,地域防災計画の策定,有効な災害時対応マニュアルの整備あり方の検討などの研究分野への応用・発展が可能となると考えられる。

 

なお,以下の1〜8では,防災関係資料の種類・内容やその活用場面に応じて,これらの防災関係資料のデジタル化が防災行政の高度化にもたらす効果・影響について,個別に示すものとする。

 

 

 

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