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2. 防災の目標を考える

 

防災の目的は何か。防災によって何をどこまで守ろうとするのか。防災の目標のレベルと内容をまず明らかにすること。

災害で失うものには、絶対的損失と相対的損失とがある。絶対的損失については万難を排して防がなければならないが、相対的損失についてはどこまで防ごうとするかは可変的である。

防災についての目標と価値観を共有することが大切。リスクをどこまで許容するかを率直に話しあう必要がある。これはまさしく自治の問題である。防災をもっと身近なものにしなければ、正しく目標設定をすることは不可能である。

100パーセントの安全はありえない。壊れることを前提にして考えよう。壊れても生きのびることを考えよう。

それでは、どのようにして目標を設定すればよいのか。一方で災害の強度と頻度を考えること、他方で防災の必要性と可能性を考えること。歴史とともに防災の目標は異なってくる。

防災というものに対する偏見がある。防災を「力まかせのもの」あるいは「快適性と対立するもの」として捉える傾向がある。行政も市民も防災を誤解している。

 

 

 

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