災害に備えたまちづくり
神戸大学工学部
教授 室崎 益輝
1. 都市の危険を認識する
危険の正しい認識がなければ防災の正しい対応が生まれてこない。
阪神大震災など大きな被害が生まれた背景には、「油断大敵」というか危険の軽視あるいは無視がある。なぜ危険を軽視してしまうのか。その背後には、災害周期の問題と災害心理の問題がある。
どうすれば正しい危険認識をもつことができるのか。敵を知り己を知るところから始まる。危険に目をそむけてはいけないが危険に脅える必要もない。自然を正しく認識することが防災の原点ではあるが、自らの弱さについても自覚すること。
都市の構造や社会の変質が新たな危険をもたらすという災害の進化論あるいは文明的歴史観をもつことが肝要である。次の災害をイメージする力をどう身につけるかが鍵。
現代の地震予知など予測科学の現状とその限界、あるいは被害想定のもつ問題点とその限界を理解しておくこと。