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3 望ましい国と地方の税源配分の方向性について

 

(1) いわゆる地方税原則の観点からの検討

 

? 地方税原則について

国と地方の税源配分のあり方を検討する場合、どのような租税を地方税として配分すればよいかという点については、経済的中立性、公平、簡素等の租税一般に適用される租税原則に加えて、特に地方税に追加的に求められる条件があると考えられてきた。これがいわゆる「地方税原則」であり、地方税原則としては、?収入が十分であり、かつ普遍性があること、?収入に安定性があること、?収入に伸長性があること、?収入に伸縮性があること、?負担分任性があること、?地方公共団体の行政又は施設と関連性があること(応益性)をあげることができる(自治省「地方税制の現状とその運営の実態」より。資料12参照)。普遍性は、税収が特定の地域に偏ることなく広く普遍的に存在することを意味し、安定性は景気の変動に影響されにくい税であることを意味している。また、伸長性は、地方公共団体の経費の増加に対応して収入の伸びが期待できることであり、伸縮性は地方公共団体の意思によって収入の増減が図れることである。さらに、負担分任性は広く住民が地方公共団体の経費を分担し合うこと、応益性は地方公共団体の行政サービスからの受益に応じて経費を負担することを内容としている。

これらの地方税原則は、必ずしも個々の税目について全てが要求されるわけではなく、地方税全体として満たされていることが要求される。また、例えば現行の法人事業税のように伸長性に富んだ税目は安定性に乏しい面があるなど、これらの原則は相互に矛盾する面もある。中でも普遍性、安定性、伸長性のうち、どれを重視すべきかは重要な問題である。

このような観点から見た場合における現行の地方税制の課題及び国と地方の税源配分のあり方を検討してみた。

 

(参考) 

租税原則には、次のようなものがある。

 

アダムスミスの四原則

(1)公平の原則 (2)明確の原則 (3)便宜の原則 (4)最小徴税費の原則

 

 

 

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