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は「市町村の区域を越える広域的・根幹的な都市計画」に限定すべきとし、特に都道府県が市町村の都市計画に後見的に関与することを極力排除している。2層制を前提としつつも、2重行政は好ましくないという見解は重視されなければならない。さらに都道府県に対する国の関与も最小限に止めるべきとし、地方分権の方向性を明確化している。

ここで問題になるのは国と都道府県、都道府県と市町村の間に残される都市計画に関する合意(又は同意)のための事前協議である。後見的関与を排除するとはしているが、都市計画策定の実際の現場では、合意が得られなければ力関係が発生し、上位機関の関与が結果として起きやすい。これは現行の都市計画法の運用に当たって常に問題になっている点で、国も都道府県も余程の覚悟と決意を固めないと“元の黙阿弥”になりかねない。

一方これに対応する市町村も自己決定に向けて行政力を高め、的確で力量のある都市計画が主張できるよう不断の努力が欠かせない。

 

(3)自治体制度と合併

明治22年の市町村制施行とともに始まった明治の大合併では7万1,000余りもあった市町村が一気に5分の1の1万5,800余りに集約され、我が国の近代的市町村制度の原型が出来た。第1次ブームである。

続いて昭和28年に町村合併促進法が制定されて第2次ブームが出現。ここでは「町村は航ね8,000人以上の住民を有するのを標準とする」とされ、昭和31年までの3年間で3,400余りに整理統合して現在の市町村体系を形成した。(表-1参照)

合併推進法は昭和40年に合併特例法として時限立法され10年毎に延長されて現在に至っているが、今回の一連の動きに沿って自治省では住民発議制度を中心に再改正の準備に入っている。

合併が首長のあたま数を減らし議員の定数を減らす事など、主に政治事情や選挙事情から折角住民が希望しても目的を果たせないケースが多い。最近行なわれた18地域50件の住民発議の内34件が首長や議会の拒否で合併推進協議会の設置に至っていないのが現実である。その意味からも住民発議制度を強化する今回の改正は重要である。

市町村の合併について第2次勧告では広域行政の推進と共にその必要

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