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公開は5月17日の九州大学応用力学研究所を皮切りに7月20日の海の日を中心に11月初旬までの日程で実施し,各会場で参加者の好評を博した。また,横浜国立大学は施設公開の一環として(財)船の科学館との共催で“ふしぎ船教室”と題した青少年向け講演会を夏休み期間中の2回,同館で開催した。

公開内容は施設により異なるが概ね以下の通りである(写真参照)。

1) 水や船に関する基礎的な説明と実験

水の性質,浮力の原理,船の安定性,推進機や舵などの仕組み

2) 模型船工作やラジコン船の操縦

ポンポン船模型製作,水中翼船・潜水艇・ヨット・高速艇等模型船の操縦実演

3) 水槽試験の見学

抵抗試験,操縦性試験,キャビテーション試験

4) 船舶や海洋構造物の模型とパネルの展示・説明,ビデオ上映

5) 操船シミュレータの操縦体験やボート試乗

6) その他研究設備の見学

また学会主催の一般公開とはならなかったが,(財)船の科学館,みなとみらい技術館,および日本郵船歴史資料館の3有料施設については,別途抽選で希望者に入場券をプレゼントした。

結果的に公開施設への総参加人員は約6,000人,内小中学生は約1,300人に上った。

施設公開に対する反応は,上記のように多彩な内容と,模型船製作や機器の操縦など実際に自分たちで参加できる催しを工夫していたため,楽しみながら学んで結果的に海や船に親しみを持てたとして全般に好意的であり,毎年の開催を希望する意見が多く寄せられ,本イベントの目的を十分達成することができた。

また,参加した小中学生には日本財団の補助によるポンポン船のプラモデルを記念品としてプレゼントしたが,これも非常に好評であった。

一方で,船舶技術研究所や大学などの施設によっては例年公開の実績があり,イベント内容も経験に照らして工夫して頂いたが,多くの研究施設では初めての催しであったため,実施準備と安全対策に多大の労力を割いて頂くこととなった。

関係者にはこの場を借りて感謝を申し上げます。

また,今回の公開内容について各施設の自主判断に一任せざるを得なかった点でイベントとしての統一性を如何に取るかに苦心し,ポスターや雑誌広告,またインターネットで一括して宣伝する事とした。但し,その時期や回数を適切に行えたかどうかについては,各施設への参加者数にばらつきが生じた事を考えると,参加人員の予想と案内の仕方を含めて今後検討すべき課題と言える。

最後に,研究施設の公開は造船所の公開に比べると学問中心に偏り易く地味であるが,その活動を一般に宣伝する機会が殆どないことを考えると,このような催しにより造船工業の先端技術(知能化,自動化)や新規商品開発への取り組みを一般に理解して貰うことは,参加者の反応からも判るように大いに意義のあることであり,継続的な開催について今後とも関係者のご理解とご協力を御願いしたい。

 

メガフロート見学会

(財)船の科学館との共催により7月22日(火)に横須賀市の住友重機械工業は(株)横須賀造船所沖合で実証試験中の超大型浮体構造物(メガフロート)の見学会を実施した。

出発地である(財)船の科学館からの往復は東京湾を船で縦断することとして,コーストウェイズ(株)のベイブリッジ号(156総トン高速双胴腫)をチャーターし,往きは(財)船の科学館桟橋を10時に出航し,東京湾アクアライン川崎人工島を経由してメガフロートに,帰りはメガフロートを12時50分に出航し,東京湾アクアライン「海ほたる」を経由して(財)船の科学館桟橋に戻るコースとした。

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