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全地表の7割を占める海洋においては,今後一層,自然環境保全に対する配慮が重要となります。沿海域の海水汚染やタンカーの油流出事故などを契機とした海洋における環境破壊の影響の大きさを思うとき,その課題解決のためにも,歴史的に最も長く海洋に親しみ,広い学術基盤を有する貴学会の今後のリーダーシップに期待するところは極めて大きいものがあります。

最後に,これまで貴学会の発展のために御尽力されました諸先達並びに会員の皆様に対し,あらためて深く敬意を表しますとともに,これを契機に,今後一層,貴学会が我が国及び世界の造船学の研究,教育の発展に貢献されますよう祈念いたしまして,お祝いの言葉といたします。

 

祝辞 運輸大臣 古賀 誠

 

本日,ここに皇太子殿下の御臨席を仰ぎ,社団法人「日本造船学会」創立百周年の記念式典にあたり,一言お祝いの言葉を申し上げます。

貴学会におかれましては,明治30年に創立されて以来,造船技術を中心とした学理の探球と技術の振興に多大な貢献をされました。その成果は,単に学術的な功績のみならず,我が国はもとより,広く世界の海運・造船業の発展に大きく寄与してきたところであり,貴学会のこれまでの活動に対しまして,心から敬意を表する次第であります。

この100年間を振り返ってみますと,我が国造船業は,明治後半に鋼船建造が奨励され,その基礎が築かれて以来,戦後の日本商船隊形成のための計画造船,2度にわたる石油危機に起因した構造調整,持続的な円高の進行等に的確に対応しながら発展を遂げてきました。また,最近では,技術の粋を結集し,テクノスーパーライナー,メガフロート等の研究開発を実施するに至っております。これらに対して,貴学会は,技術的側面から強力に支援してこられたところであります。

また,昨今,「海の日」の制定,海洋法条約の批准等,海洋分野への関心が高まっております。海洋は,環境問題,エネルギー問題,食料問題等を解決できる無限の可能性を秘めた,地球上最後のフロンティアと言われており,この未知なる分野においても,貴学会の活躍を期待いたしたいと思います。

科学技術が日進月歩で進む中,100年という長い歴史の中で培われた伝統と素晴らしい功績は,誠に讚えられるべきものであるとともに,21世紀の社会に向けた新しい展開につなげるための貴重な財産でもあります。今後の貴学会の活動に大きく期待いたしますとともに,その益々のご発展を心から祈念いたしまして,私の祝辞とさせていただきます。

 

祝辞 科学技術庁長官 近岡 理一郎

 

本日,ここに皇太子殿下の御臨席を仰ぎ,社団法人日本造船学会の創立百周年記念式典が挙行されましたことを心からお祝い申し上げます。

海洋は,生物資源や鉱物資源等,膨大な資源を包蔵するとともに,広大な空間を有しております。また,地球温暖化等,近年顕在化した地球規模の問題は,海洋が地球環境の維持に果たす役割の大きさを改めて認識する上で重要なきっかけとなりました。

海洋がもたらす無限ともいうべき可能性と,海洋が良好な地球環境の維持に果たす大きな役割を考えますと,我々人類と海洋をつなぐ船舶とりわけ造船技術の役割は極めて重要であります。最近の海洋科学技術の進歩とその成果を振り返ってみますと,有人潜水調査船「しんかい6500」や無人探査機「かいこう」等を用いた深海域の総合的調査研究の推進,深海調査研究船「かいれい」による海底下深部構造の把握,さらに,本年秋に就航予定の大型海洋観測研究船「みらい」による,赤道域から北極圏近くまでの広域かつ長期間にわたる海洋観測研究の推進等がございますが,これらには最近の造船技術の進歩が不可欠でありました。これらに加え,海洋空間利用の多様化,また,海洋の法的秩序を包括的に定める国連海洋法条約の我が国の締結等,船舶・造船を巡る情勢

 

 

 

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