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- TAS)に資格を付与された民間の通信検査員グループが、MPA及び公認の船級協会に代わり、シンガポール籍船舶の無線設備検査をすることが認められている。しかし安全無線証書の発給は出来ない。証書は、無線検査員の作成した報告にもとづき、船級協会またはMPAが発給する。最近までは、TASがMPAに代わって検査をし、証書を発給していたが、'97年4月より、無線設備の検査と安全無線電信証書の発給はMPAの所掌となっている。

GMDSSの適用拡大も含め、漁船に関する規則はPrimary Production Department - PPDが所掌することになっているが、実質的に漁船は殆どない。

ISMコードは、検査を委任している前記9船級協会に委ね、適合証書、安全管理証書はそれぞれ別々の船級協会がパラレルに発給出来る。

 

タイ国においては、船舶検査規則(Regulations on ship survey)が船舶の構造設備を規制している。船舶検査に関わる最新の規則は第23号であるが、第15号が外洋航行船舶を規制している。

同規則の制改訂及び検査実施機関として、「タイ水域航海法B. B. 2456第162-165章」において、運輸通信省、港湾局とされている。同局の船舶検査課が原案の作成に直接的に携わっている。また、PSCを実施するためのポートステートコントロール室が船舶検査課に所属する新しい組織として新設された。

次の船級協会に対して或る一定の証書のための証明、裏書の業務を公認している。

ABS、BV、DNV、GL、LR、NK

各証明や裏書の公認は、船主からの要請による。船級協会以外に、政府に代わり検査の実施を認められている組織はない。

どこかの機関の試験結果を受け入れるとの規則はないが、実際には、検査官が試験実施機関とその結果の信頼性について、個人的に判断している。

船舶無線設備の検査は安全無線電信証書の発給の過程で検査が行われ、検査の大部分は正式な証書を有する検査員に委ねられている。GMDSSの検査は公認の船級協会が実施し、政府の検査官は年次検査において簡単に確認するものであり、多大な労力を要するものではない。

港湾局は船舶検査規則第15号の改正を検討中で、この規則は廃止され、新たな規則が制定される予定である。

 

フィリピンの船舶構造設備を規制する規則として「フィリピン商船規則」(Philippine Marchant Marine Rules and Regulations - PMMRR)があり、これは旅客船はもとより、漁船も含めて全ての船舶を対象としている。1974年に制定されたもので、昨年から改正作業を行っている。公聴会を開いてDOTC(運輸通信省)の承認を経る予定で、現在全国の公聴会を終え、本年1月に成立が予定されていた。

船舶検査に携わる行政機関として、海事産業庁(マリーナ:Maritime Industry Authority - MARINA)、フィリピン沿岸警備隊(Philippine Coast Guard - PCG)、国家通信委員会(National Telecommunications Commission - NTC)がある。

 

IACSメンバーのうち、ABS、BV、DNV、GL、LR、NK、RINAの7メンバーにKRとCCSを昨年加え、外航船の取り扱いは満載喫水線指定を含めて任せている。この9メンバーは、法定の証書、例えばIOPP、貨物船安全設備証書等をマリーナに代わって発行出来る。トン数測度も、外航船についてはこのメンバーに委ね、マリーナは3GT以上の内航船舶について行う。

船級協会以外の機関として、"Augusto Suzara"、"Marine and Industrial Surveyors"、"J. M. Fernandez"に、国内航路に就航する船舶の満載喫水線関係を委任している。

他の検査機関の試験成績の受け入れについては、科学技術省(Department of Science and Technology - DOST)による材料検査は一般に受け入れられているが、原則は船級協会の試験である。

内航船の検査はマリーナが担当している。マリーナは検査部門、安全計画部門等に分かれ、新しい船舶の承認をしている。全ての計画をチェックした後サーベイヤーを送り、堪航性、安全設備等のチェックをし、証書もマリーナが発給している。証書の有効期間は1年。オーナーシップの証書、登録証書も出す。船舶番号を付与し、運航の許可を与える。3トン以下は原則として検査、登録されないとのことであったが、PMMRR改正案においては“賞客の輸送、または他船の曳航に従事するものを除き、3GT以下は適用除外”としている。外航船舶は条約証書を有するのみで、その他の検査証書は有しない。内航船舶は検査証書を有し、有効期間は2年であるが、検査は1年毎にある。受検の際、旅客船は毎年、その他の船舶は隔年に入渠を要する。

検査合理化策として、MARINAは船舶安全検査システム(Vesel Safety Inspection System - VSIS)を完成する過程にあり、これは検査の方法を明確化したもので、検査官に活用されるようになるであろうとの由であった。

無線設備の検査NTCは、9メンバーが検査報告を提出し、NTCがそれに応じて判断することとしている。

3GT以下の無証書船の登録を地方公共団体にさせる動きがあるが、未だ実現していない。ISMコードに基づくDOC、SMCはIACS(9メンバー)が発給する。

 

 

 

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