日本財団 図書館


指定した機関が実施することとなっており、この機関とは“国又は地方自治体が設置した試験研究機関等”となっている。また、指定検定機関は、“非営利法人で、検定に必要な人員と施設を有し、国内の主要な港に常設事務所を設置していること”とされている。

本報告書作成中に入った連絡によると、現在再び行政組織が再編中で、海洋漁業省は農林水産省となり、船舶検査部門は海運・建設・交通省(仮称)に組み入れられる見込みである。船舶安全法の改正も含めて、国会を通過するまでははっきりしたことは分からない由であった。新しい行政機構がどうなるかはともかく、韓国は昨年末から経済危機が報道され、IMFの介入を受けている。政府からの回答にも“今後行政機関の船舶検査部門はPSCに重点を移す”とあった通り、世界で巨大な船舶建造量を有する同国であるが、今後政府の船舶検査部門の業務は拡大せず、その執行にはKRと新たに設立される予定の法人が活用されることとなろう。

 

中国の船舶検査部門は中華人民共和国・交通部・船舶検験局(略して“中国船検”-“ZC”)である。上海分社を訪問した際に入手した「中国船検40年」誌によると、船検局(ZC)と中国船級社(CCS)は1996年で創立40周年にあたる。即ち1956年に同時に設立されたことになる。別途入手した次の資料は日本海事協会の中国の事務所を通して得たもので、CCSの船級規則?、?はもとより、政府の規則?〜?も製本、市販されている。

? 海船法定検験技術規則 (1992中華人民共和国船舶検験局)

? 同上 修改通報 (1994中華人民共和国船舶検験局)

? 同上 修改通報 (1995中華人民共和国船舶検験局)

? 鋼質海船人級与建造規范 (1〜6分冊) (1996中国船級社)

? 鋼質内河船舶入級与建造規范 (1〜3分冊) (1996中国船級社)

上掲の規則のうち、?が包括的なもので、24編からなり、第1編第1章の総則で「中華人民共和国の法令、条例、そして政府が批准、受け入れ、承認した国際条約を貫徹し、海上の人命、財産、航行の安全を保障し、海上、港湾水域の汚染防止、クレーンの安全作業を保障するために制定するもので、“法規”と略称する」こととし、主管機関を「中華人民共和国船舶検験局(以下略称“当局”)」としている。

?は第13編GMDSS関係の改正で、適用時期は条約の通りになっている。?による改正は各編に及んでいるが、第1編の総則はMARPOL73/78関連の証書の追加のみであり、'92年海船法定検験技術規則の総則は殆ど変わっていないと考えられ、概略次のようなことが読み取れる。

1. 検査の執行者

? 国際航海船舶:当局の験船師またはCCS。

? 国内航行船舶:資格を有する験船師

2. 国際航海の船舶には条約証書が発給され、その有効期間は次の通り。

旅客船安全証書:1年。

貨物船安全構造証書:5年。同安全設備証書:2年。同無線電信証書:1年。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION