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第5章 韓国、中国及び東南アジア諸国の検査制度(まとめ)

 

第3章に、検査制度に関する質問への回答と質疑結果をまとめた。この中に、各国の制度の基本的事項は全て述べられている。本章ではこれら各国の船舶検査制度について、入手資料を参考に若干の補足を加えてまとめると共に、基本的項目を、表5-1に一覧表として整理した。

 

5-1. 韓国及び中国

韓国には1961年(昭和36年)に制定された「船舶安全法」があり、これは我国の「船舶安全法」に極めて類似している。第1条は近代法らしく“目的”が書かれている点で相違するが、2条1項各号は全く同じであり、以下満載喫水線(3条)、無線設備(4条)、検査の種類(5条)、製造検査(6条)、認定事業場、型式承認(5条の2、3)、検査機関(7条)、船級協会(8条)と、ほぼ同様に並び、無いのは小型船舶検査機構と日本舶用品検定協会に関する規定部分とさえ言える。省令も、目録で見る限り古い試験規程を除き日本と同様の基準名が並ぶ。

良く似た法律とはいえ、細部は若干異なり、船級協会に委ねる検査の範囲は、所謂2条1項各号の船体、機関、設備に3条の満載喫水線と、殆ど全てである。また、認定事業場における“確認”は“主任者”ではなく国が行うこととなっており、これも政府に代わって船級協会が実施出来る。検査証書の有効期間は一律5年で、6年船舶はない。法第2条第2項では漁船を適用除外としている。回答にも船舶の安全を規制する法令として「漁船法」があった通り、漁船の安全に関しては同法で規定していると考えられる。

船舶検査の担当行政組織は、3年ほど前の行政機構再編により海洋漁業省、海洋政策室の船舶安全課となった。検査を委ねている船級協会は、法第8条には単に“船級法人”と書かれてあるが、船舶安全法施行令により、国際船級協会連合(IACS)のメンバーである韓国船級協会(KR)が指定されている。法第7条の3によれば、“船級法人”は認定事業場における“確認”のみならず、定期検査、中間検査、製造検査も国の命により代行出来る。我が国におけるNKよりも、広く国の検査を代行するKRであるが、居住、衛生、救命設備に関する規則は有せず、政府の規則を用いて検査を執行している。

なお、KRは'98年7月からDNVに代わってIACSの議長国になる。

回答には船級協会以外に国に代わる検査組織は無いとするものもあったが、漁船の検査は従来より漁船協会が検査をしていた。そして現在これを改組して、漁船、小型船はもとより、KRの船級を有しない全ての韓国籍船舶の検査をする民営組織(仮称:韓国船舶安全技術協会又は船舶安全管理公団)を設立しようとしている。これには財政資金は投入しないとのことである。

また船舶安全法は'97年12月に改正され、'98年7月施行の予定である。

「船舶及び船舶用物件の型式承認に関する規則」は、我が国の「船舶等型式承認規則」より約10年遅れて制定され、対象物件はやや少ないが似た分類となっている。検定が管海官庁と指定検定機関であることも同じであるが、型式承認試験は国ではなく、これも

 

 

 

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