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2 需給のアンバランス

 

地球上の資源は有限である。水の再生は可能であり、技術進歩によって水利用の効率を高めることも可能であるけれども、水供給量が無限でないことは明らかである。他方において水を利用する人類の数は人口爆発と呼ばれる如く異常な増加傾向を示している。しかも、実数の増加ばかりでなく、生活水準の向上は水の1人当たり消費量を増加させ、また経済成長の世界的な持続は産業の水利用を増大させる。

世界の水資源の利用は1950年代を境にして急増している。急増はまず農業分野でおき、次いで1970年代から工業分野で急増が始まり、現在は生活分野、特に都市の生活用水に移っている。1950〜1990年間における世界の生活用水消費は約50%増加した。農業生産への水需要が淡水資源利用の中で特に際立っているのは、耕地生産力の向上に灌漑が大きな割合を果たしていることによる。以上のような水資源利用の増加の特徴的な変化は、特に1960年代から始まった異常な人口増加率1)に対応する農業生産の画期的な展開、1970年代以降における世界的な経済成長、1980年代以降における都市人口の激増2)をよく反映している。

1990年頃における各分野別の年間水使用量を示すと表1の如くである。

国連の発表によると、すでに世界の80ヶ国で水不足が発生し、世界人口の約40%は水不足に悩んでいる。3)この傾向は21世紀において一層深刻化することが予想される。

 

3 20年間に16億、1年間に8000万の増加

 

水資源問題の基本的要因である世界人口の趨勢について触れておこう。国連の最新の世界人口推計の改訂版(1996)によると、世界人口は1995年の57億が20年後の2015

 

 

 

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