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年には73億となり、20年間に16億増加する。年間平均8000万の増加である。その間に世界人口の生産活動も増大し、生活水準は上昇することはほぼ確実と考えられる。水需要は激増することとなる。

このような世界人口の激増の中でアジア人口は約60%を占めている。耕地面積は世界全体の27.4%にすぎない。しかも、ここで重要なことはアジア大陸の内部には強い乾燥気候域が広く分布しており、平均年間降水量は742mmと推定されている。これはオーストラリア、アフリカに次ぐ少ない降水量である。近代化の急速な発展の結果、農地面積は急減している。中国は人口12億の巨大人口国である。1949年の解放以来、この人口増加のため1人あたりの穀類耕作地面積は40年間で0.17ヘクタールから0.08ヘクタールに半分に急減し、4)また今日では食料輸出国から輸入国に転換している。

アジアの人口は34億4000万であるが、2030年には50億、2050年には54億に達すると推計されている。アジアの経済発展はめざましく、そのタイナミズムは世界経済の牽引者として高く評価されている。しかし、その背後には水不足による食料生産の減少、そして輸入という不安要因がある。アメリカのある専門家は、中国の食料不足について次のように警告した。2030年には中国の食料生産は2億6300万トンに対し消費量は4億7900万トンになり、不足量は2億1600万トンになるという。この中国の穀類輸入必要量は、その頃の世界の輸出可能量をはるかに上回るという。しかし、このような長期予測にはいくたの不確定要因があることに留意する必要があろう。同時に長期的な傾向を示唆する警告としての意義のあることをいうまでもない。

 

4 3つの緊急対策

 

人間の生存に直接または間接に影響をもたらす水資源が有限である以上、そしてまた今はすでに世界的に枯渇が危惧される現在においては早急に対策が国内的に国際的に確立されなければならない。特に、重要な点は水使用が目的や地域によって厳しい競争、競合関係にあるということである。水資源の配分の優先順位の決定が求められる。いいかえれば配分計画である。この配分とは産業別特に農業と非農業特に工業と

 

 

 

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