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3.2 試設計

 

3.2.1 船の種類、積荷の種類

平成7年度までの研究では北極海航路の中でも沿岸の航路を設定し、途中の港湾に寄港しながら航行することのできる比較的浅い海峡、港等に適合した浅喫水船型とした。本年度は、可能性の高い別の運航様式として、日本(横浜)〜ヨーロッパ(ハンブルク)間をNSRの港に寄港することなく航行する商船を考えることにする。従ってより大量貨物輸送に柔軟に対応できる船型をターゲットとする。最初に極東-欧州間の荷動きの現状を考慮して、今回の開発対象船種の絞り込みを行った。 本来は船主、荷主の運用を考慮に入れたフィージビリティ・スタディを基に船種を設定するべきであるが、ここでは予想される荷動きを基にしてNSRでメリットが現れると考えられる船種を設定することにする。

US Army Corps of EngineersのNorthern Sea Route Reconnaissance Report Vol III(文献3.2.1)の中で、東アジア〜ヨーロッパ間のNSRによる物流の可能性を貨物の種類別に2050年までの期間にわたって予測している。図3.2.1に東アジアからヨーロッパへの貨物種別のNSR物流予測を、図3.2.2にヨーロッパから東アジアへのNSR物流予測を示す。この予測によれば、東アジアからヨーロッパへは今後コンテナ貨物が有望で、2000年以降大きな伸びを示すことが予想されている。ヨーロッパから東アジアへは、コンテナ貨物とバルク貨物が同じ程度の物流の伸びを示している。これらの予測結果を参考にして、以下にコンテナ船とバルクキャリヤーの2船種について航海日数を基にした検討を行った。

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