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2.着氷回避

 

沢田13)は、実際に航行中の船上で着氷の発生を予測するには、まず、針路上の風と気温を予測し、次に気温・風速などの着氷条件を目安に、着氷の可能性やその強度を検討すれば良いとしている。

気象庁は、昭和34、35年の冬千島海域へ出漁するタラ漁船の協力を得て、着氷時の風向・風速・気圧・水温・波浪などのデータを得て、気温・風速と着氷強度との関係を求めた。19) 着氷強度は、(A)少し氷が着いた。(B)たくさん氷が着いた。(C)非常にたくさん着き、氷落としを行った。の3階級に分け、横軸に風速、縦軸に気温をとって、各階級の領域を示している。

着氷しやすい海域に入域したときは、着氷除去の注意が必要であるが、あまり着氷が発生しない地域でも気象・海象条件が厳しくなれば、着氷の危険性があるから対策が必要であると思われる。着氷が波浪階級や相対風速・風向、気温などの互いに関連しあって発生するから、これらの気象・海象条件の観測と前記の相関表などを見ながら、航行あるいは操業する必要があると思われる。

日本海難防止協会ではこれまで見てきたように、着氷防止の調査・実験・検討を加えているが、これらを総合して「着氷危険度表示盤」を作成している。5) この表示盤は、昭和46年から47年までの冬季間に着氷海域で操業した漁船の報告を基に作成され、危険度が適切でない場合があるとしながらも、相対風速、相対風向、気温、船速から危険度が分かるようになっている。危険度は、(1)着氷の危険はない、(2)着氷注意、(3)着氷の危険が大きい。(4)着氷対策をせよ、の4段階に分類されている。

着氷原因の相互関連を総合化しており、船舶の運航に有益なものと思われる。

 

 

 

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