日本財団 図書館


6.2 膨脹式救命いかだ

この設備を着氷から守るためには、船体の中でも波しぶきのかかる度合の出来るだけ少ない場所に設置されねばならない。しかし、救命設備としての性格から、最も波しぶきのかかりやすい露出した場所に設置される。小型船になるほどその傾向は強いが、いわば二律背反とも言えるこの矛盾した条件をクリアする方策が必要となる。

(1)コンテナ

いかだ本体を最終的に船舶から切り放して使用しなければならないため、電熱ヒータ(面状発熱体)のようにケーブルで本船と接続しておかねばならない方法は避け、単独で利用できるよう難着氷性の塗料を塗布する。

また、コンテナ自体を難着氷性のある素材で製作する。

 

開発必要技術 ・はっ水性塗料の開発

・はっ水性素材の開発

 

(2)架台

一般的に架台は鋼やアルミ合金製で、L型アングル材で作られている。この部分に自己制御型発熱抵抗体を使ってヒーティングをする方法や内部をパイプ構造として中側に温水又は温油を循環させる方法が考えられる。

いずれにしろ熱エネルギーを利用したものであるので、その熱源を確保するための方策が問題で、特に経済的に安価な方法とすることが必要となる。

 

開発必要技術 ・高効率な熱源装置(発生装置、循環装置、熱媒体等)の開発

 

(3)水圧自動離脱器

着氷による離脱器の水圧穴の閉塞及びコンテナ固縛用ワイヤと離脱器との連結部の固着は膨脹式救命いかだ装置全体の致命傷となることから、最も確実な着氷防止対策をとらねばならない。

 

開発必要技術 ・自動離脱器内部のヒーティング装置(面状発熱体の利用)の開発

・自動離脱器着氷防止カバーの開発

・保温効果の高いシンプルな構造の自動離脱器の開発

 

(4)手動離脱装置

現在は引手棒式となっており、ここも着氷による機能障害が大きい。

構造面からの検討も必要である。

 

開発必要技術 ・面状ヒーティング装置の開発

・保温効果の高いシンプルな構造の離脱器の開発

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION