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あ い さ つ

 

本報告書は、競艇公益資金による日本財団の平成9年度補助事業として実施した「甲板上機器類の着氷防止技術に関する調査研究」をとりまとめたものである。

北海域における冬期間の船舶が遭遇する海難事故のうち、横転沈没するという痛ましい事故が相変わらず発生している。真の原因は不明なるも、時節柄着氷によるのではないかとも懸念され、一日も早い原因の究明とともに対策の策定が望まれている。

船舶への着氷問題は、陸上の想像をはるかに超えるものであり、これまでにも関係者によって船体着氷の防止のための調査研究が行われ、デッキ上にヒートパイプを通したり、機関の冷却温水を散布する等の装置が勘案されたが、コストや設備に必要なスペースの関係でこれらの設備を有しない漁船等については、ほぼ2〜3時間毎のハンマリングといった原始的な方法で除去しているのが現状となっている。さらに甲板上に設置するよう義務づけられた救命用または航海用の機器類への着氷については、その多くが電気的な精密機械であることからハンマリングや強力な電熱ヒータ等による脱氷ができないため、これまでほとんど対応がとられていない。これらは船舶の航行、海難防止に直接関わる重要な機器であり、早急に対策を講じる必要がある。

よって当財団では、甲板上機器類に対する着氷防止技術を開発するため、着氷の現状、着氷防止に関する技術の検討及び評価等を行い、具体的な技術開発目標を策定し、船舶の安全航行に資することを目的に本事業を実施した。

本事業は、岡實(財)日本海事協会研究センター技術研究所長を委員長とする「甲板上機器類の着氷防止技術に関する調査研究」委員会の各委員をはじめ、同小委員会の各委員の熱心なご検討と、(社)日本船舶品質管理協会のご協力により完遂したものであり、これらの方々に対し心から感謝の意を表する次第である。

 

平成10年3月

財団法人 シップ・アンド・オーシャン財団

会 長  今 市 憲 作

 

 

 

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