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あるBOD、CODの環境基準の平成7年度の達成状況を見ると、2,294水域(河川1,784、湖沼51、海域459)と全体の72.1%であり、海域では78.6%である(図7-4、図7-5)。湖沼・内海・内湾等の閉鎖性水域では、外部との水の交換が行われにくく汚染物質が蓄積しやすいため水質の改善や維持が難しい。

また、海域の生活環境項目の達成率については、河川や湖沼と比べ高い達成率となっており、一定の水質改善効果は現れていると判断されるが達成率の向上には至っていない。このため、平成8年4月に内閣総理大臣により3海域に係わる総量削減基本方針が策定されるとともに、平成8年7月には関係都府県知事により総量削減基本計画が策定され、第四次の総量規制が開始されている。

また、全窒素、全リンに係わる環境基準類型が当てはめられた海域(東京湾6水域、大阪湾3水域の計9水域)における環境基準は2水域で達成された(達成率22.2%)(表7-9)。さらに、閉鎖性海域(東京湾6水域、大阪湾3水域の計9水域)の全窒素、全リンは東京湾で2水域が達成(達成率33.3%)、大阪湾は未達成である(表7-10)。環境基準の達成率は満足できるものではないが、これは生活排水が主な汚濁源となっている。

 

? さらに、要監視項目の指針値超過状況を表7-11に示す。ほう素、フッ素、ニッケル、アンチモンが指針値を超えているが、海域のバックグランドをどう評価するかが問題であり、指針値の設定の考え方も今後検討される予定である。

 

以上を整理すると「水質」という視点からは海洋汚染の現状は見えにくいと考えられる。

 

(イ)環境調査

? 化学物質に関する環境調査(水系)によると、全国56地点の水質、底質及び51地点の魚類において、水質30物質、底質24物質、魚類8物質を対象に調査を行っている。その結果、水質から6物質、底質から15物質、魚類から3物質が検出された(表7-12)。

 

? また、多種類の化学物質を同時に感度良く分析できるGC/MSを用いて、環境調査結果等により水質及び底質に残留が確認されている化学物質について、環境汚染の経年監視を行うことを目的として水質・底質のモニタリング調査が昭和61年度から行われている。平成7年度水質・底質モニタリング結果では(河川8地点、海域7地点、湖沼3地点)、調査対象物質20物質の内、水質からは o―ジクロロベンゼン、m―ジクロロベンゼン、p―ジクロロベンゼン、BHT、リン酸トリブチルの5物質が検出された。底質からは20物質全てが検出された。

 

? ダイオキシン類は燃焼過程や化学物質の合成過程などで意図せずに生成される化学物質である。ダイオキシン類などの非意図的に生成される化学物質について環境庁が行った実態によると(平成7年度の調査結果)、ダイオキシン類による一般環境の汚染状況は、前年度までの調査結果と比較して大きく変化したとは認められないが、底質を中心に広範囲に検出されているため、今後とも引き続きその汚染状況の推移を追跡

 

 

 

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