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しては、大気に過剰放出されるCO2やNOx、SOx、河川、海洋に放出される窒素,リン等の栄養塩があり、それぞれ地球温暖化問題, 酸性雨問題, 海洋の富栄養化問題を引き起こしている。後者の化学物質としては、ダイオキシン、 DDT、PCB などがあり、大気, 海洋, 土壌に放出される。これらの物質は大量摂取により直接有害性を示すものはもちろんであるが、近年では生物の食物連鎖などを通しておこる生物濃縮が問題となっている。

 

?環境問題の直接的影響、間接的影響

これらの物質は直接特定の環境圏だけを汚染するに留まらない。人間の出す生活排水や産業排水などは直接的に海洋の水質を汚染する。これらの過剰栄養塩や有害物質は海洋生物の生態系に影響を与え、我々人間の口に入ってくる水産物も汚染する。

また、海洋汚染は海洋の二酸化炭素吸収能力に影響する。海洋は地球温暖化の主たる原因物質である二酸化炭素を大量に吸収しており、そのなかで、海洋性プランクトンは二酸化炭素固定の生物ポンプとして重要な役割を果たしているが、汚染によりプランクトンが生きられない環境になったならば、海洋の二酸化炭素吸収量は激減すると考えられる。海洋汚染は直接的な影響だけではなく、地球温暖化問題を通して間接的に影響を及ぼす。そして地球温暖化は大気圏だけの問題ではなく、それによって生じる地球規模の気候変動によって海洋の生態分布にも影響を与えると考えられる。

さらに、大気圏や大陸圏に端を発し、海洋圏に間接的影響を与えるものもある。例えば、土壌汚染は、河川水や地下水を通して最終的には海洋に影響を与えることになる。

これらの問題は巡り巡って結局、人間の生活圏や経済、食糧、健康に被害を与えることとなるのである。

 

 

 

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