(6)酸素供給装置
体重600gのヒラメの酸素消費量は、摂餌後、水温20度Cの条件下では約49.9ml/尾・時である。この消費に見合う必要な酸素量は、酸素の水中への溶解度を2.5%とすると、1.9リッター/尾/時となる。
空気中の酸素の占める割合は1/5であるので、1.9リッター/時の酸素供給に必要な空気量は5倍の9.5リッター/尾/時となる。したがって、2000尾では19,000リッター/時の空気が必要となり、これに応じた酸素供給装置を設置することになる。
(7)脱窒槽
飼育水中に蓄積する硝酸態窒素濃度は、ヒラメの窒素排泄量と累積給餌量から推定できる。
硝酸態窒素濃度(mg/l)=総摂餌量(g)×摂取窒素に対する排泄量の比×排泄窒素中の溶存態窒素の割合×飼料中の窒素の割合÷水量(l)×1000
摂取窒素に対する排泄量の比:0.5
排泄窒素中の溶存態窒素(アンモニア+尿素)の割合:0.8
飼料中の窒素の割合:0.09
ヒラメ500kgを増重するに必要な配合飼料は飼料効率l00%とすると500kgであることから、500kg×0.5×0.8×0.09÷20m3=0.9kg/m3 の計算より、硝酸態窒素濃度は900mg-N/リッターと推定される。20m3の水中に18kgの硝酸態窒素が蓄積されるということであるが、当然このままではヒラメの成長に支障が出る。
したがって、硝酸態窒素濃度が360mg-N/リッター程度に達する飼育開始後100日前後から脱窒槽を運転する必要がある。
100日以降のヒラメの摂餌量を約100kg/月とすると、排泄される硝酸態窒素量は3.6kg/月となる。飼育水中の硝酸濃度を約360mg/リッターに維持するためには、1日当り約120gの硝酸態窒素を処理することになる(3.6kg÷30日)。
実験に用いたEC濾材1リッター当りの硝酸処理能力は約80mg-N/日であるので、この場合に必要な濾材量は120g÷80mg×l000=1.5m3となる。脱窒槽の容量は瀘材必要量の1.5〜2倍程度で考えておけばよい。