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3.5.4 循環式陸上養殖システムの実証例

電力中央研究所28)、29)は1991年からヒラメの陸上循環濾過養殖の実験を行ってきたが、その結果をもとに産業用の大型システムを構築する際の基本設計を提案しているので紹介する。

(1)前提

体重600gのヒラメを1250gまで飼育する。生残率は100%。

飼育尾数は1,000尾とする。

(2)基本構成

118-1.gif

(3)飼育水槽

ヒラメの飼育上限密度は約100尾/m2(体重500gの場合だがそのまま適用)=50kg/m2

水深50-60cmとすると、約200尾/m3

したがい、最大時の1,250kgでは25m2の面積が必要となる。円形のタンクを使用する場合直径6mで約15m3が必要となる。

(4)硝化槽

濾材としてプラスチック濾材(EC濾材)を使用する。

体重600gのヒラメのアンモニア排泄量は、72時間摂餌なしの場合で4.8mgN/100g・日であるが、摂餌後は2〜5倍になる。すなわち、最大値は24mg N/100g・日。

2,000尾のヒラメだと、600g × 2,000尾× 24mg N/100g・日=288gN/日のアンモニアが排泄されることになる。

熟成済みのEC濾材のアンモニア酸化能力は最大312mgN/1濾材・日であるので、288gN/日のアンモニアを酸化するに必要な濾過材量は;

312mgN/1×288gN/日=900リッターとなるが、安全を見込んで1,800リッターが必要。これを入れる硝化槽の容量は目詰まりを防ぐために出来るだけ大きなものとし、5-6m3の物を用意する。

(5)システムの総水量

タンク 直径6m、高さ55cmとして 15m3

硝化槽 6m3容積の約70%として 4m3

配管中の循環水 1m3

合計 20m3が最低必要となる。

 

 

 

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