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これらの残餌や糞尿は、潮流によって流れ去ったり、他の水産生物の餌になったり、あるいは海水の自浄作用によって分解されるが、内湾型養殖を主体とする我が国の場合、なお相当量が水域への汚濁負荷を高め、また、底泥への沈降・蓄積となる。

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海水への窒素負荷量を考える場合、投餌する餌の質と量が大きな問題となってくる。すなわち、冷凍イワシ等の生餌や、オレゴン型のMPは、たん白質の含有量が魚の成長度合いに比して多過ぎ、また、増肉係数も高いために、どうしても環境への窒素負荷量は多くなってしまう。東京水産大学の竹内教授の試算では、例えば、ブリ養殖用の餌を従来のオレゴン型モイストペレットから、ソフトドライペレットに変えた場合、約25%の窒素負荷量と、約17%のリン負荷量が軽減されるとしている。仮に、国内のブリ総生産量を15万トンとすると、この軽減量は窒素負荷量で3,800トン/年、リン負荷量では700トンとなるが、この数値は、屎尿処理場における440万人分のNと、3,500万人分のP処理量に相応するという。

 

 

 

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