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3.1.3 海面養殖と環境

我が国で海産魚類の給餌型養殖が最初に行われたのは、昭和2年、香川県安土池でのブリ養殖らしい。その後、養殖業は種苗生産技術や安価な餌料供給に支えられて、全国に拡大している。しかし、狭い内湾での給餌養殖は海域の自家汚染となって、表面化してきている。従来の集約型海面養殖に対して、水産庁養殖研究所環境管理部の伊藤は、次の様に報告している(海面養殖における漁場環境とその問題点、1996,養殖増刊号)。

「海面養殖業は水域を最大限に利用し、最大の生産をあげることを原則にして営まれる。この経営方法は結果的に生産の場としての自然水域での生物種の減少や組成変化、底質の変化と底層水貧酸素化、養殖魚の疾病被害の頻発、有害赤潮鞭毛藻種の優先化等の現象を顕在化させたことで、今までの養殖のあり方に対して環境から再検討を迫る状況が生まれている」。伊藤はさらに、山口(1978)やWatanabe(1991)等の報告を元に、給餌型魚類養殖における餌料の魚と環境への配分割合は、魚の増量に回るのは20%だけであり、給餌総重量の20%は残餌として直接環境に放出され、魚による摂餌分80%のうち、75%が糞・尿として体外に放出されると試算している。

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