日本財団 図書館


016-1.gif

また、環境庁は、魚類養殖の負荷について、次式を使用している。

生産量×(増肉係数-1)×飼料比率×飼料含量/365

N,P含量を生餌N3.0%,P0.2%,配合飼料N7.2%,P2.0%,生餌比率および増肉係数を平均的に、ブリ81%-6.8,タイ77%-5.7,その他の魚43%-2.4とすると、生産量Kg当たり原単位の計算は、ブリの場合、Nで0.60,Pで0.086g/日/(kg/年)、タイの場合Nで0.51,Pで0.079g/日/(kg/年)、その他の魚の場合、Nで0.21,Pで0.047g/日/(kg/日)となる。例えば、上記の生餌比率の餌を使って、ブリを15万トン養殖した場合、Nは32,850トン/年、Pは4,700トン/年が環境への負荷量ということになる。

 

長い年月にわたって養殖を行ってきた地域における低層水の貧酸素化や、底泥中の硫化物の増大現象は既に各地の水産試験場等でも調査・報告されており、養殖漁家も餌の改良や漁場底質の改善等に取り組み始めているが、以下に主要な水域の汚染の状況をまとめ、漁場が抱える問題について検討してみたい。

 

例-(1)瀬戸内海の海域汚染の現状

世界に比類無き多島美を誇る瀬戸内海は、温暖小雨の気候と豊かな自然に恵まれ、古くから多くの人々がその恵みを享受していた。現在生息している魚類約600種、内約100種ほどが漁獲の対象とされており、平成5牛は、海面漁業28万トン、海面養殖35万トンと年間で合計約63万トンの生産量をあげている。

しかしながら、戦後の高度経済成長に伴い、埋め立て地の拡大、陸上からの汚濁物質の流入等で、現在の瀬戸内海は水圏環境が著しく低下しており、正常な内湾生態系とは呼べない状況にある。以下、岡市等の著作「瀬戸内海の生物資源と環境2)」(1996)から、抜粋する。

 

(1)-イ.瀬戸内海の汚染の歴史

1968年 瀬戸内海への工場排水量173億トン(岡市、1985)。1965年は約92億トン。3年間で約2倍。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION