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している。しかし、有機汚濁については、なお全体の3割の水域で環境基準が達成されておらず、特に、閉鎖性水域及び都市内河川の中には、依然として水質汚濁の著しいものがある。湖沼や内海、内湾などの閉鎖性水域では、汚濁物質が蓄積しやすいため水質の改善や維持が難しく、特に湖沼は、環境基準の達成率も低く、水道水の異臭味、漁業への影響等の問題が生じている。また、都市内河川は、生活排水の増加によって河川への負荷が大きくなっている。

水質の富栄養化は、元来、流域からの窒素、リン等の栄養塩類の供給により湖沼が徐々に肥沃化される現象を指すものであったが、近年、人工、産業の集中等により、湖沼に加えて内湾等の海城においても窒素、リン等の栄養塩類の流入が増大し、藻類等が増殖繁茂することに伴い、その水質が累進的に悪化する現象がみられるところがあり、水質保全上問題となっている。

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ロ)海洋汚染

海洋は、汚染物質が最終的に行き着く場所となることが多く、広大ではあるものの、人間の活動に伴い、汚染が世界的に確認されるに至っている。

平成8年に我が国周辺海域において海上保安庁が確認した海洋汚染の発生件数は754件で、平成7年に比べ57件の減少であった。このうち油による汚染は370件と全体の約5割と高い割合を占め、油以外のもの(廃棄物、有害液体物質、工業排水等)による汚染は294件、赤潮は90件であった。

また、環境庁の調査結果によると、東京湾、伊勢湾及び大阪湾並びにこれらの沖合海域において、表層では湾口部にプラスチック類の分布が多く、低層では湾奥部において、プラスチック類や自然物の他、金属やガラス類が多く見られた。また、化学物質の分布状況は、重金属や有機塩素化合物が、湾口部よりも湾奥部に高い濃度で確認されている。

1994年(平成6年11月)に「国際的に発効した海洋法に関する国際連合条約」(国連海洋法条約)に基づき、我が国は、平成8年6月に締結を行い、同年7月20日に発効した。

 

 

 

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