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1985年から行ったこととしては、1つは退職金の割り増しによる希望退職者を募った事である。これにより約4万人がお辞めになった。この時の退職金の割り増しは勤続年数により異なるが、平均すると1年間の給料と同額の割り増しをつけている。

一方、新しい仕事を斡旋した人は約3万人いた。主な転職先は国家公務員が多く、民間の会社に斡旋をした者も含めて、全部で3万人が新しい職場へ引き継がれた。

精算事業団は、国鉄の残務を引き継ぐ特殊法人であり、そこへは最終的に就職口が決まらない約8,000人が行った。その方々に対しては1番長い人で約3年間再就職のための協力をして、約6,000人が就職を決めた。しかし、3年経っても就職をしない人(自分の意志で従わなかった方)は3年で雇用契約を切った。

質問4)精算事業団の法律的な性格は。

質問4に対する回答)監督省庁は、運輸省(運輸大臣)である。

質問5に対する回答は質問者に対し別途に回答)

質問6)別の新しい鉄道会社のインフラは誰が持ったのか、別の会社なのか。

質問6に対する回答)インフラは各鉄道会社のものである。別な会社にインフラ不のみ保有させたのは新幹線部分だけである(新幹線保有機構)。新幹線については、路線による収益力の格差を調整するために、このような仕掛けが作られた。しかし、今現在までに、新幹線に関係するJR各3社が新幹線の価値を評価して買い取っている。従って新幹線のインフラ部のみ保有する会社は現在ない。

質問7)分割後の各会社の財産の債務は。インフラも含まれていたのか。

質問7に対する回答)インフラ部が含まれていたということが原則である。

質問8)日本では、なぜ鉄道と高速道路が並行して整備されている事が多いのか。

質問8に対する回答)我々が鉄道や道路を整備する時、必ずどのような需要がこの道路にのるか、鉄道の需要を喚起するにはどのような需要が有利か、ということを常に計算している。従って、一見バラバラに投資をしているようで、鉄道は自分で敷けば必ずお客さんがのってくれるという今までの経験の算式がある。それに基づいた需要を見込んだ上での建設投資である。

これは道路も高速道路も同じである。道路に乗る貨物や、道路に乗るお客というのは、性質が決まっており、これは道路事業の監督省庁である建設省で同じ様な高速道路に対する需要計算をしている。その結果優位にあるルートから投資される。

人がたくさん住んでいる所を結ぶのは鉄道は非常に得意としている。道路、高速道路は工業生産やいろいろな物資が集まる所をつないでいくのが主たる役割である。人間の居住するところの近くにに工業の拠点は多い傾向にある。その結果として、高速道路と鉄道が似たようなルートに整備されることが多い。

 

◆回答2:一橋大学 根本敏則教授

質問9)高速道路を建設する場合の目安となる輸送量は、また、1人あたりのGDPいくらになったら高速道路が建設できるのか。

質問9に対する回答)高速道路をどのように定義するかということにかかっている。

日本の高速道路の説明をするときに日本全体の1万kmのネットワークを説明したが、設計速度100km/hである。しかし、東京、名古屋、大阪の間は非常に今の道路が混んできたので、現在140km/hの設計速度の第2東名神高速道路を建設中である。

高速道路以外には特定のトンネルや橋だけの一般有料道路があり、制限速度は60km/h〜80km/hという形で短い区間でたくさん存在する。

ここで大切なポイントとなるのは、いったいどれくらいの規格の道路をどれくらいのスピードで走ってもらうネットワークを考えるのかという話と、その有料道路から徴収した料金でどこを作るかという話を切り離して考えることである。どういう規格の道路をどんな形でネットワーク化するかということを判断するのは、経済評価、費用便益分析が役にたつ。結局、140km/hの設計速度のも高速道路を作る場合、それに見合った交通量、時間短縮効果を期待出来て初めて、道路を作ることが社会的に意味がある。

ヴィエトナムのケースでいえば所得が200ドルということだが、非常に混雑している道路があると聞いてるので、部分的に橋等を部分的に改良する中でそのスムーズな走行を目指すということは考えられる。部分的な改良の際には、財務分析上どんなお金を使って改良を行うかを検討し、有料道路の制度を導入する可能性も非常に高いと考えられる。但し、それは個別の事情により異なるわけで、そのルートごとにどれだけの車両が通行するかというstudyをされて結論がでる。

 

10. 閉会(ハノイセミナー)

ヴィエトナム運輸開発戦略研究所 グエン・カン・バウ所長

 

社団法人海外運輸協力協会理事長、講師及びお集まりの皆様、昨日から2日間に亘り運輸インフラ整備に関する内容の濃い様々な発表をしていただきました。そのテーマは包括的、総合的なもので、そのテーマは「日本の経済成長と運輸政策」「日本の高速道路整備」「日本国鉄の機構改革」「工業化のための物流の役割」「東アジアの空港整備」「東アジアの港湾整備」でありました。今回の日本の先生方のご講義は、我々ヴィエトナム側にとって大変有益です。今後、私たちヴィエトナムの交通運輸分野では、今回のセミナーで得られた知見を仕事に生かしていきたい。

一方、ヴィエトナム側からは、「ヴィエトナム運輸開発戦略」について講義があり、ヴィエトナムの運輸インフラの現状について理解が深まりました。

日本側からも色々な情報が得られ、セミナーは成功に終わったが、限られた時間の中ですべての講義に関して十分な議論をするのは難しかった。

時間をかけて遠路日本から来ていただき、貴重な研究材料を我々に紹介して下さった講師の方々に厚くお礼を申し上げます。

最後に日本国大使館、運輸省、日本財団、日本人の講師の先生方をはじめ、日本からお越しいただいた皆様方にお礼を申し上げます。ヴィエトナム側から参加された関係機関の方々にも感謝の意を表します。

主催者を代表して、本日のセミナーの終了を申し上げます。

 

 

 

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