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一度施設に入所した人達を再び地域に戻していくことは、地域にいる人を地域の中でそのまま生きていけるような仕組みをつくるよりも、何倍もの労力を必要とします。

では、障害をもつ人達を地域から切り離さないようにするためにはどうしたらよいのでしょうか。それは、対象者を一定の場所に集中的に集める現在の施設収容型福祉の流れを変え、地域の実状にあわせてきめ細かなサービスシステムをつくりあげていく、地域支援型福祉に発想を転換することだと思います。

しかし、現在の日本においては、地域福祉は掛け声ばかりで制度的な保障も十分でなく、従ってほとんどの市町村に地域支援システムが根づいていないのが実状です。このため本人や家族はどうしても入所施設に依存せざるを得なくなり、このことが施設に対する過剰なニーズを生み出す結果になっています。

もっと地域生活支援システムが充実すれば、入所施設からより多くの人達が地域に出ることができるようになり、必然的に施設が空いてくることになります。そこへ本当に施設を必要とする人達が入所すれば、新たに施設を増設する必要はなくなるでしょう。国や地方自治体が発想を転換して、お金の流れを変えていけば、入所者にとっては地域生活が実現し、施設も滞留化から抜け出して活性化することができます。

「収容型福祉から地域支援型福祉に」「施設に代わってグループホームを障害福祉の主流に」、関係者の発想の転換が今強く求められています。

 

(「伊達市地域生活支援センター」は「通勤センター旭寮」と「地域援助センターらいむ」から構成されています。)

 

 

 

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