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グループホームの未来を考える

 

本間弘子 ((福)東京都知的障害者育成会城東生活寮援助センター主任)

 

1. 東京都の生活寮の現状

 

東京都の生活寮制度は昭和54(1979)年に始まってから、今年でちょうど20年になります。

現在170寮、約800人が利用しています。東京都の生活寮は、大きく分けて次の二つのタイプがあります。

(1) 都の制度による生活寮 126寮(約600人)

(2) 区・市の制度による生活寮 44寮(約200人)

(1) 都の制度の生活寮は、通勤寮の卒寮者が半数を占めており、企業で就労している人が多く利用しています。都民なら誰でも利用でき、利用期間に定めはありません。

(2) 一方、区・市制度による寮は、設立した区・市の住民だけが対象です。利用料が比較的安いので、主に福祉就労の人が利用しやすいようになっています。しかし原則として3〜5年の期間しか利用できないのが特徴です。

東京都は、平成7(1995)年に『とうきょうプラン'95』を作成し、平成12(2000)年までに都制度の生活寮の利用定員を807人まで増やすと発表しました。東京都の18歳以上の知的障害者の数は2万9千人ですから、平成12(2000)年には、東京都では2.7%の人がグループホームを利用できることになります。

一方、平成12(2000)年までの入所施設利用者の目標値は6,510人、東京都の18歳以上の知的障害者の21%です。

これを裏返せば平成12(2000)年になっても、知的障害のある都民は、100人中3人しか生活寮を利用できないという見方もできます。

しかも、東京都の入所施設は、その定員の60%が他の県にあるために、平成12(2000)年には、約3千人の知的障害のある都民が東京に住めなくなるのです。やっぱりもっともっと生活寮を増やさなくてはなりません。

 

2. 生活寮をもっと増やそう

 

(1) 生活寮をつくるための三つの要素

(福)東京都知的障害者育成会(以下「東京都育成会」といいます)は、過去20年間、組織全体で生活寮づくりに取り組んできました。現在、103寮の生活寮を運営し、利用者は450人を超え、世話人も130人の規模になりました。

さて生活寮づくりとは、『地域に散らばっている三つの要素を探し出し、一つの時期にコーディネートすること』と言えるのではないかと思います。

三つの要素とは、?@利用者 ?A住宅 ?B世話人です。

 

(2) 利用者・入居者を探す

ところでこの三つの要素は地域に埋もれていますので、掘り起こしていかなければなりません。まず何よりも利用者、すなわち入居したいという人が4〜5人いることが前提ですが、気のあう人たちがグループにならなければなりません。地域のさまざまな施設へ呼びかけて利用者を募ったり、またどこにどのような人がどのような二ーズをもっているかの情報をキャッチしておくことが必要です。施設の職員と懇意になったり、保護者会や親の会で生活寮のPRにつとめるなど、地域の利用者ニーズを絶えず掘り起こすことが大切でしょう。

 

 

 

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