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第5章 荷崩れ危険性と円錐貫入力

 

5.1. 一面剪断試験結果に基づく水分値のクライテリア

5.1.1.荷崩れ数値解析法

荷崩れの数値解析プログラムは、土質工学における斜面の安定性解析に倣って船舶技術研究所が作成したものである。計算は二次元であり、Felleniusの方法と呼ばれるものである。詳細については第2章の参考文献を参照されたい。計算の結果は臨界安全率で示され、この値が荷崩れ危険性の指標となる。この計算法を用いた場合、道路等の工事中等の過渡的状態においては、臨界安全率として1.2以上を確保すべきと言われている。そのため、荷崩れの危険性の有無は、臨界安全率1.2を基準として判定する。

3.2.2節で述べた通り、荷崩れの数値解析における入力項目は以下の通りである。

(A)貨物パイルの形状

(A-1)斜面の幅

(A-2)斜面の高さ

(A-3)頂部の平坦部の幅

(B)船体傾斜角度(想定される最大横傾斜)

(C)貨物の物性値

(C-1)見かけ密度

(C-2)内部摩擦係数(剪断抵抗係数)

(C-3)粘着力

これらの値のうち、(C)の貨物の物性値は一面剪断試験結果により与えられる。

5.1.2.貨物パイルの形状と船体傾斜角度

(1) 斜面の幅と平坦部の幅

 

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1.3節で述べた通り、この研究では、可能な限りの荷繰りが行われることを前提として荷崩れの危険性を評価する。そのため、船倉内の貨物は、開口部の下は平坦に荷繰りされるものとする(図1.1.(B)参照)。よって、計算の対象とする貨物のパイルの形状を決定するには、ニッケル鉱運送に供されるばら積み船の幅とハッチの幅を調べる必要がある。表5.1.1は、載貨重量40千トン級と20千トン級のばら積み船の船幅及びハッチの幅の例を示したものである。貨物斜面幅とは、船幅からハッチ幅を引いた値を2で割ったものである。この表より、貨物パイルの斜面の幅は、代表的な値として7mとして計算を行う。貨物の頂部の平坦部の幅は、ハッチ幅の平均値を丸めて13mとする。

(2) 斜面の高さ及び船体傾斜角度

本年度は、一つ船の各船倉内の貨物のパイルの形状のスケッチを入手した。このスケ

 

 

 

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