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4.2. 試料の準備及び調製

4.2.1.試料の種類及び最大粒径の調製

ばら積み物質の試験においては試料の調製が特に重要である。剪断強度の計測精度は主として試料の均一さに依存し、また、水分値の計測精度は試料の均一さ及び計測に用いた試料の量に依存する。また、本研究においては、各種最大粒径の試料を用いることから、試料の管理も重要である。

4.3節に述べる大平洋金属(株)八戸製造所及び日向製錬所における現場実験では、円錐貫入試験の後に試料をドラムで船舶艤装品研究所に送付した。送付した試料を用いて、実験室における試験のため以下の手順で各種の最大粒径の試料を準備した。

(1)送付された試料を予備乾燥する。

(2)予備乾燥した試料から、100mm以上の粒子を除去する。(試料A)

(3)試料Aを縮分(参考資料参照)し、試料の一部は最大粒径19mm以下の試料(試料B)と粒径19mm〜100mmの試料(試料C)に篩い分け(参考資料参照)する。

(4)試料Bを縮分し、試料の一部は最大粒径6.7mm以下の試料(試料D)と粒径6.7mm〜19mmの試料(試料E)に飾い分けする。

予備乾燥においては、飾い分けの準備として、試料の中に上の塊を残さないよう、適宜上の塊を砕いた。

各試料は以下の実験に用いた。

 

試料A: 100-19裏漉し水分値試験

試料B: 実験室円錐貫入試験及び19-6.7裏漉し水分値試験

試料C: 粒径分布が異なる場合の100-19裏漉し水分値試験に試料Aと併せて用いた。

試料D: 一面剪断試験

試料E: 粒径分布が異なる場合の19-6.7裏漉し水分値試験に試料Bと併せて用いた。

 

4.2.2.水分調製

ニッケル鉱は透水性が高くないため、試料の水分を均一にするためには、充分に攪拌する必要がある。また、撹拌に際しては、単に試料をかき混ぜるだけではなく、試料を押し固める作業をまじえることが肝要である。

ニッケル鉱に水を加えることにより水分値を調製した場合は、水分値は変化しなくても、水を加えてから時間が経つほど、剪断強度が高くなる傾向がある。この現象は、以下の二つの原因によると考えられる。

(1)ニッケル鉱の粘着力は、試料の粒子間の水による吸引力に起因しており、粒子間の水が一定以上に増えると吸引力が低下して粘着力が減少するため、一定以上の水分値の試料では、水分値の増加に伴って粘着力が低下する。この現象に基づけば、試料に水を加えた直後は、水は粒子の間に存在するが、時間とともに水が粒子の中に入ることにより、粒子間の水が減り、粘着力が増すと考えられる。

(2)試料の攪拌を徹底することにより、巨視的には水分を均一に含む試料が得られる。

しかし、ニッケル鉱は透水性が悪いため、水を加えてから充分に時間が経つまで

 

 

 

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