日本財団 図書館


第4章 ニッケル鉱の剪断強度試験

 

4.1. 円錐貫入試験及びプロクター貫入試験による予備試験

4.1.1.予備試験の目的

各種試験の実施に先だって、円錐貫入試験の手順の確立を目的として、予備試験を実施した。併せて、各試験における試料の最大粒径とその調製方法、最大粒径と水分値の関係の計測方法等についても、事前に送付していただいたゲベ(インドネシア)産のニッケル鉱を用いて、実験的に検討した。

4.1.2.実験室円錐貫入試験の検討

当初、実験室円錐貫入試験の際には試料を円筒形の容器に入れることを考えていたが、予備試験の結果、試験の対象となる試料が対象となる水分値範囲においては、供試体を形成するのに充分な粘着性を有することが分かったため、容器を用いずに供試体を形成して、試験を行うこととなった。一つの水分値に関する試験手順は以下の通り。

(1)約20kgの試料を床面上のビニールシートの上に用意する。

(2)試料に所定の水を加える。

(3)ビニールシートを利用して、試料を折り畳み、また、体重をかけることにより薄く伸ばしながら、試料を均一に撹拌するとともに、試料中の空気を抜く。

(4)試料の塊を床面上のビニールシートに叩きつけることにより、試料を均一にするとともに、試料中の空気を抜く。

(5)(3)及び(4)を適宜繰り返す。

(6)試料を整形し、円筒形(直径約25cm、厚さ約15cm)の供試体を形成する。

(7)円錐貫入試験を行う。

4.1.3.円錐貫入試験とプロクター貫入試験

プロクター貫入試験は、細い円筒(ニードル)を供試体に挿入する際の力を計測する試験である。円錐買入試験は、例えば家を建てる際の地耐力調査等において用いられるのに対して、プロクター貫入試験は、セメントの調製具合の評価等において用いられる。どちらの試験法がニッケル鉱の荷崩れ危険性評価に適しているか調べるため、円錐貫入試験と並行してプロクター貫入試験も実施した。

プロクター貫入試験では、最大粒径が19mmであっても、供試体の中の塊にニードルが触れることにより、場合によって貫入力が非常に大きくなる現象が見受けられ、試験の再現性に問題があることが分かった。円錐貫入試験においても円錐と供試体の中の塊の接触による貫入力の増大は避けられないが、プロクター貫入試験のニードルと比較すれば円錐貫入試験の円錐は大きいこと、円錐貫入試験では供試体中の塊が横へ逃げやすいことから、プロクター貫入試験と比較すれば、円錐貫入試験の方が再現性が高い。そのため、本研究では、円錐貫入試験に基づく荷崩れ危険性評価法を開発することとし、プロクター貫入試験は実施しないことにした。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION