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は、微視的には水分の多い部分と少ない部分が残り、剪断強度は試料の弱い部分、即ち水分の多い部分の影響を強く受けるため、加水直後は剪断強度が低く、時間とともに剪断強度が増すと考えられる。

実際に運送されるニッケル鉱は、人為的または自然現象により水分調製がなされてから充分に時間が経った状態であると考えられるため、各種の剪断強度計測は、基本的には、水分調製のため試料に水を加えてから充分な時間を経て実施する必要がある。そのため、一面剪断試験は、水分調製から2日以上、水分の蒸発を抑えた状態で保管した試料を用いて実施した。一方、現場円錐貫入試験では時間の制約があるため、試料への加水から充分な時間を経て試験を行うことは現実的ではない。そのため、現場円錐貫入試験においては、一日目の最後の実験に用いた試料は、そのまま撹拌・整形をやり直して、二日目の最初の実験に用いた。また、加水量及び加水してからの時間と円錐貫入力の関係を把握するための実験室円錐貫入試験も実施した。これらのデータを用いて、円錐貫入力のクライテリアを補正することにした。

裏漉し水分値試験においても、試料に水を加えた直後は試料中の塊まで水が浸透しない恐れがあるため、水分調製からの時間には配慮した。

本年度の実験では、試料に水を加えてから剪断強度を計測するまでの時間は、必ずしも充分に管理できていなかった。試料に対する加水量と加水から剪断強度試験までの時間の管理・把握は今後の課題である。

 

 

 

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