水分値試験と呼ぶ。実験結果に基づき、最大粒径と水分値の関係を検討できた。
基本的には一面剪断試験に対応する試料の水分値を現場円錐貫入試験に対応する試料の水分値に関するため、最大粒径6.7mmの試料と100mmの試料の水分値の関係を求める必要がある。一方、実験室円錐貫入試験に対応する試料の水分値も現場円錐買入試験に対応する試料の水分値に換算する必要があること、また、最大粒径100mmの試料から最大粒径6.7mmの試料を速やかに抽出するのは困難なことから、裏漉し水分値試験は、最大粒径100mmの試料と19mmの試料の水分値の関係を調べる試験(以下、100-19mm裏漉し水分値試験と呼ぶ。)と最大粒径19mmの試料と6.7mmの試料の水分値の関係を調べる試験(以下、19-6.7mm裏漉し水分値試験と呼ぶ。)に分けて行った。
さらに、水分値の換算方法を決定するため、通過重量百分率の計測と所定の範囲の粒径の試料に含み得る最大水分値の計測を行った。
3.3. クライテリア決定の流れ
以上をまとめると、荷崩れ危険性に基づき円錐貫入力のクライテリアを決定するための作業の流れは以下の通りである。
(1)一面剪断試験及び荷崩れ数値解析に基づく水分値のクライテリアの決定
(1-1)一面剪断試験
(1-2)得られた剪断強度に対する荷崩れ数値解析(貨物バイル形状の調査を含む)
(1-3)一面剪断試験用試料に関する水分値のクライテリアの決定
(2)一面剪断試験用試料の水分値のクライテリアに対応する現場円錐貫入試験用試料の水分値の決定
(3)現場円錐貫入試験用試料の水分値のクライテリアに対応する円錐貫入力(円錐貫入カクライテリア)の決定
前述の通り、実験室円錐貫入試験は、現場円錐貫入試験に対して補足的に実施するものであり、円錐賞入力のクライテリアの決定には、直接的には関係しない。
3.4. 研究実施上の留意事項
荷崩れ危険性評価用試験法の基礎となるのは現場円錐貫入試験である。現場円錐貫入試験により得られる円錐貫入力は、試料中の大きな塊の影響により、大きい値を多く含む。実験結果を解析する際には、こうした大きな値を除いた残りのデータに着目する必要がある。
粒状物質の剪断強度を評価する際には、締め固めに注意する必要がある。実際の船倉内のニッケル鉱の締め固めの程度は明らかではないので、締め固め方法は、実験の再現性の観点から決定するのが現実的である。ニッケル鉱は、水分値が高くなると剪断強度が低下し、低い締め固め圧力でも試料中に大きな空隙が存在しなくなり、さらに締め固め圧力を上げても剪断強度に殆ど変化しなくなることが分かっている。即ち、剪断強度が殆ど変化しなくなる最低限の締め固めの程度は、ニッケル鉱の水分値により変わる。