日本財団 図書館


(C-3)粘着力

これらのうち、貨物パイルの形状については調査を行い、貨物の物性値は、一面剪断試験により計測した。

各種の水分値について実施された一面剪断試験により得られる物性値を用いて荷崩れの数値解析を行い、臨界安全率が1.2となる水分値を求めれば、最大粒径を調製した一つの試料に関する水分値の上限が得られる。

3.2.3.一面剪断試験と円錐貫入試験

円錐貫入試験により得られる円錐貫入力をコーンの上面の面積で割った値をコーン支持力という。コーン支持力は、粘土については一軸圧縮強さの約5倍になることが、知られている(1)。また、一軸圧縮強さは、内部摩擦係数が無視できる場合、粘着力の2倍であることが知られている(1)。よって、内部摩擦係数が無視できる粘土については、コーン支持力は粘着力の10倍程度になる。なお、実験で用いるコーンの上面の面積は約6.5 cm2である。仮に、試料の内部摩擦係数が無視できる程度であり、試料の最大粒径も充分に小さいとしたら一面剪断試験により得られる粘着力と円錐貫入力の関係は推定することができる。例えば、粘着力が0.2kgf/cm2(約20kPa)で臨界安全率が1.2になるとした場合、コーン上面の面積を考慮すれば、円錐貫入力のクライテリアは13kgfとなる。内部摩擦係数が無視できないときには、コーン支持力のクライテリアはさらに大きい値になるはずである。また、現場円錐貫入試験では、試料中の塊の影響により、円錐貫入力はさらに大きくなる。

円錐貫入力のクライテリアは、基本的には、一面剪断試験及び荷崩れの数値解析に基づき一面剪断試験用試料の水分値のクライテリアを求め、最大粒径による違いを考慮して水分値を換算し、換算した水分値に対応する円錐貫入力を求めることで決定できる。

3.2.4.実験室円錐貫入試験と現場円錐貫入試験

実験室円錐貫入試験では、試料の最大粒径がコーンの上面の直径より小さいため、円錐貫入力のばらつきは小さい。一方、現場円錐貫入試験では、試料が大きな塊を含むため、結果として得られる円錐貫入力がばらつく。そのため、現場円錐貫入試験結果から水分値と円錐貫入力の関係を求める際には、実験室円錐貫入試験結果を参照した。即ち、実験室円錐貫入試験は、水分値と円錐貫入力の関係を決定するため、現場円錐貫入試験に対して補足的に実施した。

3.2.5.最大粒径と水分値の関係の検討

一面剪断試験、実験室円錐貫入試験及び現場円錐貫入試験では、それぞれ試料の最大粒径が異なる。そのため前章で述べた通り、それぞれの実験における剪断強度を比較するには、最大粒径と水分値の関係を把握し、適宜水分値を換算する必要がある。そこで、水分値の換算方法を決定するため、最大粒径と水分値の関係も実験的に調べた。

一つの試験は、ある最大粒径を有する均一に調製した一つの湿った試料を二つに分け、その一方はそのまま水分値を計測し、もう一方は湿ったまま篩を通すことにより所定の最大粒径の試料を抽出してから水分値を計測するものである。以下、この試験を裏漉し

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION