た状況を想定すれば、試験に必要な装置一式を一人が一回に持てる程度にすることが望まれる。研究においては、こうした点にも留意する必要がある。
1.3. ニッケル鉱の安全運送と本研究の位置付け
本研究の目的とする試験法が開発されれば、輸送しようとするニッケル鉱が充分な剪断強度を有するものか否かを荷役現場において判定できるようになる。荷崩れの危険性からみて貨物の剪断強度が充分か否かは、貨物のパイルの形状にもよる。そのため、荷繰りを行うか否かによっても、剪断強度のクライテリアは変わる。よって荷崩れを防止するには、まず、可能な限りの荷繰りを行うことが重要である。荷繰りには、図1.1(A)に示すように貨物のパイルの傾斜を小さくする方法と、(B)に示すように貨物のパイルの規模を小さくする方法がある。(A)の方法は非粘着性物質の荷崩れ防止にも有効であるが、(B)の方法は、ニッケル鉱のような粘着物質の荷崩れ防止に有効である。しかし、荷繰りを行ったとしても、ハッチの直下を除く甲板下には貨物の斜面は残るため、貨物には一定程度の剪断強度が必要である。