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解剖学実習を経験したことで、自分はこれから、医療に携わる人間なんだという自覚がでてきた。自分がおかれている立場や、これからおかれる立場のことに気づいたことで解剖学実習に対する姿勢が変わった様な気がした。献体ということにも興味がわき、そのことで脳死についても考えさせられた。今まで無関心で、考えたこともなかった事だったので、解剖学実習は献体や脳死、今後の医療について考える、よい機会であった。

最近、移植する臓器を提供するときだけ「脳死」を人の死とする臓器移植法案が可決され成立した。この法案が可決されたことで、臓器移植でしか助かる道のない、重い心臓病や肝臓病の患者を救う法的根拠が明確になったと思う。だが、臓器提供に限定したために数々の問題が起こるのではないかと思う。臓器移植とは無関係の医療の現場での脳死判定は難しくなるのではないか。本人の臓器提供の意思の確認と脳死判定はどの時点で誰がするのか、脳死判定の家族への説明はどうするのか、なども問題になると思う。日本ではまだ十分にインフォームド・コンセントが行われていないため、これらの問題は解決するまでかなりの時間がかかるのではないだろうか。

献体について知ったのは、解剖学実習が始まってからだった。献体運動のことを知ってすごく感動した。というのも、私たち学生のために自分の遺体を無条件・無報酬で提供し

 

 

 

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