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解剖学実習を終えて

 

大内 仁

 

四月から七月末までの解剖実習は本当にあっという間に過ぎてしまった気がする。非常に緊張して臨んだ一回目の実習日を今でも、僕は忘れられない。初めて御遺体を見ることに対する緊張もあって、この大学に入って一番真剣に取り組んだ授業であった。 一生懸命やっている内にとうとう最終日をむかえてしまったという気持ちである。自分としては土曜日に大学へ行ったり、放課後も残って実習をする日が多かったと思う。しかし、精一杯御遺体から学ばせてもらったかと言われると、はっきり言って自信がない。勉強不足であったことを反省している。

図解入りでも理解しにくい参考書の内容を自分の目で観て、手で触れてみることで効率よく知識を得ることができた。そのため自分にとって解剖実習は非常に有意義であった。しかし、憶えなければならない知識の多さに嫌になることもあった。問題はなぜ我々は解剖を学ぶのかという事を明確にし、モチベーションを持つことだと思う。

我々が将来診なければならないのは生身の人間である。治療することに加え、心を慰める仕事を行うわけである。様々な疾患の患者さんの苦しみを知るには、まず、どこが悪いのかを知るのが大切であり、それには解剖生理が重要なのである。そして患者さんの将来

 

 

 

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